出版社内容情報
1944年、首相暗殺に失敗した陸軍中尉のグンゾーは瀕死の状態で朝鮮に流され、死の淵で神秘的な食べ物と出会う。未体験の滋味と幸福感――それは「焼餃子」だった。覚醒したグンゾーはかくして人々に幸せをもたらす「究極の餃子」を探す旅に出ることに。朝鮮のマンドゥ、モンゴルのボーズ、ソ連のペリメニ……様々な餃子と出会い、仲間も増えていく。前代未聞の熱々エンタテイメント、餃子をめぐる究極の大河ロマン小説!
内容説明
国民的グルメはこうして生まれた!幸福と感動をもたらし、人類を救済する「究極のギョーザ」とは?太平洋戦争末期の中国大陸で、肉汁と熱き思い溢れる、脱走兵グンソーの旅が始まる。熱々の大河ロマン小説。
著者等紹介
蜂須賀敬明[ハチスカタカアキ]
1987年、神奈川県出身。早稲田大学卒業。2016年、『待ってよ』で第二三回松本清張賞を受賞。横浜の神々のバトルロワイヤル小説『横浜大戦争』が話題となり、第4回神奈川本大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
250
餃子に魅了された餃子バカの壮大な物語。話は戦時中から始まり、グンゾーから息子のタミオの代まで、餃子、餃子、餃子。餃子が絡む縁と縁、そして因縁、更には友情も…。餃子が起こす三国志いや戦国時代か。戦争、友情、ビジネス、時代、料理…全てのジャンルの小説が含んだ大河小説だ。しかも泣けるときたもんだ。これはすごい!これから読もうとする貴方、読了後は毎日が餃子でもいいように食卓には醤油、辣油、酢を置いちゃうこと間違いなし。たかが餃子されど餃子。ひとつの事を極めることの素晴らしさを物語を通して教わった大傑作だ。2021/03/20
nobby
145
「餃子を追い続けろ。俺は必ず現れる。」いやはや、名作映画での「それを作れば、彼はやってくる」を超越する名言に悶絶(笑)壮絶な敗戦間際の朝鮮・満州を舞台に繰り広げられるのが究極の餃子を探す旅とは恐れ入る…「俺の今の居場所は、焼餃子だ。」いや、帝国軍人の鑑と謳われた漢が何言ってんの!?苦笑しつつ読み始めると、焼に水に蒸、あらゆる餃子に唾液を垂らし、祖国に戻れば商売に明け暮れる540頁を圧巻の一気読み!「餃子は、いつも旅をしている 。」まさにそんな感じ♬何はともあれ読了して確実に思うのは早く『焼餃子』喰いたい!2022/04/11
みっちゃん
139
あっつ!熱いよ!その練り込まれた皮が、具が、肉汁が。鉄板の上でぱちぱちとはぜて、じゅうじゅう焼けて。その音がいつも頁から聞こえているような妄想に囚われる。私をパブロフの犬にする。自分の生きる道はただ一つ。そう思い定めてひたすら突き進むその背中に惹かれて一人、また一人と志を継ぐ者が生まれる。その熱量には圧倒された。2023/03/21
パトラッシュ
96
「東篠」首相暗殺を任されるほどの軍人だった検見軍蔵が餃子に取り憑かれ、最高の餃子を求め終戦間近の満州を駆け巡る第一部は文句なく面白かった。しかし彼の関係者が帰国した日本で餃子を広めようと奮闘する第二部は、いくら懸命に働く姿を描いても平和な日本でぬくぬくとビジネスをしているだけだ。軍蔵がシベリアに抑留されながら餃子ひとつで生き抜き、脱走して広大なスターリン時代のソビエトを逃げ延びる血で血を洗うような波乱万丈のドラマを読みたかった。物語の展開上やむを得ないかもしれないが、偶然の出会いを多用するのも鼻についた。2021/02/17
のぶ
95
全編が餃子愛に溢れた物語だった。主人公は東條英機首相暗殺の密命に失敗した検見軍蔵。二部構成になっていて、第一部は、太平洋戦争下の朝鮮でグンゾーは餃子と出会う。これが運命の始まりとなった。この究極の食べ物を世に広めるべく、旅に出る。様々な餃子に中国大陸で出会う冒険の話。第二部は日本に帰還し、究極の餃子を目指して店を開く。その後ライバル店の出店に新たな戦いが繰り広げられることになる。グルメ本であり、ビジネス書とも捉えられる本作だが、ここまで一つの食べ物に特化した小説は他にない気がした。面白かった。2020/12/24