五年後に

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  • サイズ 46判/ページ数 224p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784575242812
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

中学教師の華に一人の女子生徒が言う。男性教師に告白したが、返ってきた言葉は「五年後に言うてくれたら嬉しいのに」だったと。それは、のちに華の夫が命を落とすきっかけとなった言葉でもあった。人間のささやかな悪意、不器用さ、弱さなどを、元中学教師である著者が教師を主人公に描く。第40回小説推理新人賞受賞作家のデビュー短編集。

内容説明

夫のかつての教え子。彼女は、夫の最期の吐息も血も体温も奪っていった―。元中学国語教師、渾身のデビュー作!第40回小説推理新人賞受賞作。

著者等紹介

咲沢くれは[サキサワクレハ]
1965年大阪府生まれ。立命館大学二部文学部卒業。生命保険会社に勤務後、中学教師を11年間務めたのち退職。2018年、「五年後に」が第40回小説推理新人賞を受賞(受賞時の筆名は松沢くれは)。受賞作を収録した『五年後に』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

179
作者は元中学国語教師。タイトル作含む短編4話。小説推理新人賞受賞のタイトル作は意味深。この教師・華の女としての気持ちはわかる。私ならーわかるが果して夫が亡くなる事故のきっかけを作った少女・柚香に、その事故で脊髄を損傷して歩けなくなった柚香に夫の面影を残す幼い息子を連れて会いに行けるだろうかー同じ想いをしていたかつての自分の姿がダブりその瞬間から二度と交わる事ない人生を生きた気がするのだ。だから、人間は奥深いとでも言おうか(汗)好みはラストの『教室の匂いのなかで』2020/06/11

machi☺︎︎゛

140
主人公が教師の短編4作。表題作の五年後に。は女子中学生が先生に告白して五年後に言って欲しかったなー、っていうくだりがあるけど、中学生だった頃の自分を見てるみたいでその子の気持ちがすごく伝わった。元教師の作家さんということで中学生の揺れ動く気持ちや言動がリアルだった。中学生の頃は先生は絶対!みたいに思っていたけど実際は先生も1人の人間として普通に悩み、決断を間違うことも当たり前だけどある。2020/08/09

モルク

119
それぞれ中学校教員を主人公とする4つの短編集。著者も中学教師を11年やったそうで、今までの学園ドラマの熱血先生とは違いなかなかリアル。生徒、家族、友人などを描き、表題作以外の作品の方が好みかな。特に「教室の匂いの中で」が良かった。いじめを違和感から感じ取った教師。過去に友人をいじめから救えなかった体験も交え、無関心という見えざる悪と葛藤する姿。思春期の少年たちと接するって大変だなあ。2021/05/10

sayuri

115
「五年後に」「渡船場で」「眠るひと」「教室の匂いのなかで」4話収録の短編集。表題作は、第40回小説推理新人賞受賞作品。全話の主人公が中学校の教師という設定は中学教師を11年間務めた著者ならでは。「五年後に言うてくれたら嬉しいのに」男性教師が女子生徒からの告白に答えたその一言。その「何気なく」出た言葉に怯える教師・安崎華。その一言に込められた意味合いは受け止める側で大きな落差があって、その言葉に囚われ続ける華の行動は理解し難い悪意となり心がざわめく。イジメをテーマにした最終話は感情の機微の繊細な描写が秀逸。2020/06/23

fwhd8325

87
4編の短編は、どれも味わい深いものでした。表題作「五年後に」と続く「渡船場で」の2編には、かつての劇画雑誌「ガロ」に掲載されていた作品を思い出しました。独特の世界観を持った気になる作家さんの一人となりました。2020/10/11

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