出版社内容情報
安政三年(1856年)の冬、江戸の町では銘酒「ゆきのなごり」が大流行していた。相変わらず鬼退治の仕事をし続けていた甚夜は、この酒をめぐる事件に巻き込まれてしまう。そして、その渦中、16年間行方知れずだった妹の影を発見するのだが……。号泣必至と絶賛の嵐だったWEB小説シリーズ第三弾! 武士と夜鷹の恋物語、鬼の噂を追っている付喪神を使う男の登場、消えない過去との対峙――鬼人幻燈抄の物語はさらに深まっていく。
内容説明
葛野での悲劇から16年―甚夜は行方知れずだった妹の影を発見する。江戸で得た出会いと別れ、すべてを背負い生きていく。和風ファンタジーシリーズ第三巻!
著者等紹介
中西モトオ[ナカニシモトオ]
WEBで発表していた小説シリーズ『鬼人幻燈抄』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モルク
101
鬼人幻燈抄シリーズ第3弾。前作のメンバーに夜鷹と染吾郎という味もあるが癖もある人物が加わる。父と酌み交わした酒が、飲みすぎると次第に人を狂わせ心の中にある憤怒が人を鬼に変える。その酒は…。こんな所にいたのか白雪。彼女は見つけて欲しかった!ただ、ただ甚夜いや甚太に見つけてもらうのを待っていた。やりきれない、せつない想いが漂う。鬼神になろうとしている鬼女である妹の存在が不気味に影を落とす。次巻は幕末編、さてどんな展開になるのだろう。2020/08/26
よこたん
66
“けれど忘れてはいけない。「見えない」と「無い」は同義ではない。誰に見えなくとも、それは確かにある。だからいつかは気付くこともあるだろう。かつては見えなかったものに。そこに隠れた、小さな小さな優しさに。” 不器用ななかにそっと浮かぶ優しい眼差しを想う。刃を向けるべきは鬼。しかし、鬼に変じたとは言え、斬った相手は…。やりきれなさに、頁を繰る手が震えた。シリーズ3作目。何の業で、何の咎があって、こんな苦しい思いを繰り返し歩んでいかなければならないのか。鬼とは実のところは何なのだろうか。美しい表紙が哀しい。2020/08/01
y--75
59
江戸編-幸福の庭からの続き。今回は登場人物紹介付き。 付喪神使いの技の数々は映像で見てみたいと思った。 終盤、ショッキングな展開が起こる。そこにちらつく鈴音の影。まだ兄妹の戦いは続いているのだと痛感させられる。そして、幕末編へ。2020/02/22
りー☆ 低浮上気味
47
シリーズ3作目。魑魅魍魎が跋扈する幕末(1854年~1856年)の江戸を舞台に、今作でも甚夜が鬼を討伐していきます。妖艶な夜鷹、京から来た飄々とした染吾郎など新たなレギュラーメンバーも加わりますます深みを見せています。鬼女鈴音の影がちらつき始め、次作ではもっと踏み込んでいくのか?と楽しみ。ただラストは切ないですね。こちらも次作でどうなるのか気になります。2022/01/19
るぴん
45
鬼の情報をくれる夜鷹の夜鷹、甚夜の同業者・秋津染吾郎など新キャラも加わったシリーズ3作目。飲むと乱暴になるという謎の酒が江戸で広まり、甚夜の周囲も巻き込まれていく。仮初めの幸福と知りながらも、蕎麦屋「喜兵衛」での奈津と善二、直次、おふうと過ごす何気ない日々を、甚夜と同様に温かく感じていただけに、最後に放たれた奈津のひと言はショックだった。憎悪の連鎖は断ち切れないのか。全てを知り、もう少し大人になった奈津はどう思うのか…。続けて4作目へ。2020/11/01