楡の墓

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  • サイズ 46判/ページ数 258p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784575242508
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

歴史時代作家クラブ賞受賞作『鳳凰の船』につぐ、明治開拓期の北海道を舞台に描いた短編集。札幌開墾を主導する大友亀太郎と、その下で開墾に従事する青年の行く末/表題作。開拓長官・黒田清隆と札幌農学校初代教頭・クラーク博士が船上で教育論争を戦わせる/「七月のトリリウム」。時代に翻弄された人々の悲哀を描く五編。

内容説明

明治初期の北海道サッポロ。新時代の波に呑まれ、土地を去る者。骨を埋めると決意する者。北辺に身を置く人々が選びとった道を研ぎ澄まされた筆致で照らしだす五編。

著者等紹介

浮穴みみ[ウキアナミミ]
1968年北海道生まれ。千葉大学仏文科卒。2008年「寿限無 幼童手跡指南・吉井数馬」で第30回小説推理新人賞受賞。09年、受賞作を収録した『吉井堂謎解き暦 姫の竹、月の草』でデビュー。18年『鳳凰の船』で第7回歴史時代作家クラブ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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とん大西

118
著者初読み。奥ゆかしく、どことなく切ない表紙にそそられました。…うん、悪くない、いや、むしろイイ(何様(^_^;)?)。明治初期、北海道サッポロの開拓の様相を描いた短篇5作。それぞれのテイストが歴史小説でもあり人情小説でもあり、男女の淡い機敏を綴った恋愛小説でもあり。混沌とした時代の中で、北の大地に流れて来た農民、伏魔殿のような新政府の波に呑まれたかつての志士。パイオニア達の希望と鬱屈が静かに沁みてきます。好みは表題作「楡の墓」。思慕、恋慕、漂泊。根なし草の幸吉の哀愁とラストの読み心地が二重丸(^^)2020/04/04

モルク

95
江戸末期から明治初期、開拓時代のさつほろ(札幌)を舞台に、そこに息づく人々を描いた5編の短編集。藩閥政治の元、官吏の交代とめまぐるしく変わる開拓方針。1話目の表題作「楡の墓」では用水、治水により10年後を見据え広大なる農地を作ろうとする大友と彼を尊敬する開拓農民たち、それが中央政府の一言で札幌に本府を建てるという計画に。翻弄される判官や開拓民たち。彼らの苦悩、失望がよくわかる。さらりと読めるが、そこには力強さもある。初読み作家さんだったが、他の作品も読んでみたい。2020/06/03

真理そら

76
同じ作者の『鳳凰の船』は函館だったがこの作品は同じ幕末から明治の札幌開拓を舞台にした短編集。表題作と「貸し女房始末」は物語性のある短編。他の作品は実在の人物についてのエピソード風の短編。北海道にゆかりがあればもっと楽しく読めたかもしれない。「貸し女房始末」が好きだ。2021/02/14

さつき

75
開拓時代の札幌を描いた短編集。草創期には「さとほろ」とも呼ばれていたとは知りませんでした。温かみのある、どこか懐かしい響きがこの作品にぴったりだと思いました。北海道には子供の頃に2度行っただけ。摩周湖とか宗谷岬など観光地の記憶ははっきりありますが、札幌の印象が全く残っていなくて…いつか札幌村郷土記念館に行って大友亀太郎の事跡を追いたいなぁと思います。2020/10/21

いたろう

74
「鳳凰の船」が、明治時代の函館を描いた短編集だったのに対し、本作は、明治時代の札幌とその周辺を描いた短編集。今の創成川の基となる用水を引いた大友亀太郎、札幌の本府建設に着手した島義勇、開拓長官を務めた黒田清隆、開拓大判官として黒田清隆から北海道開拓の施政を任された松本十郎、札幌農学校で若者を指導したクラーク博士、その他、大きな希望を持って内地から移り住み、札幌を、北海道を切り拓いた無名の人々。江戸時代から拓けていた函館と違い、明治になってから、何もなかったところに計画的に作られた札幌の成り立ちが興味深い。2020/06/10

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