出版社内容情報
幼少期は悪たれ小僧、青春期は時勢に興味すらなかった板垣退助の人生は、黒船来航とともに、突如動き出す。幕末から維新を駆け抜け、自由民権運動を主導した庶民派の政治家・板垣退助の生涯を、直木賞作家・門井慶喜が足かけ五年の歳月をかけて書き上げた長編歴史小説。板垣退助没後百年にあたる今年、満を持して刊行!
内容説明
主君・山内容堂に“最悪”と評された札付きの悪童幕末に立つ!西郷隆盛、江藤新平、後藤象二郎らと幕末維新を駆け抜けた―。板垣退助、その波乱万丈の生涯!
著者等紹介
門井慶喜[カドイヨシノブ]
1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞を受賞し、作家デビュー。2016年『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)受賞。2018年には『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
221
門井 慶喜は、新作中心に読んでいる作家です。板垣 退助は知っていますが、本人が主人公の小説は初めてです。暗殺されて死に際に「板垣死すとも自由は死せず」という名言を残したのだとばかり思っていたら、どうも創作のようですし、80歳台まで長生きしました。明治維新の他の偉人に比べ、政治家としての器は大きいと思いますが、坂本龍馬しかり西郷隆盛しかり、志半ばで死去した悲劇の偉人の方が人気があるのは解る気がします。2020/01/24
ケイ
90
板垣退助について。この作家さんの維新ものは伊藤博文については面白く読んだが、こちらは出だしが似ているようでと惑った。歴史小説は、やっぱり司馬さんが好みかな。2020/10/11
のぶ
89
本作はタイトルから分かる通り、板垣退助の生涯を記した歴史小説で、伝記的な要素もあるが、合わせて、幕末から明治維新への激動の変化を著した作品でもあった。この時代の本は過去に相当数読んでいるが、これほど詳細に政治的な史実が書かれたものは読んだことがなかった。そんな意味で非常に勉強になるし、登場人物は幕末の徳川将軍や天皇。新選組から坂本龍馬、明治に入っては伊藤博文、江藤新平他オールスターキャストが板垣退助との絡みが描かれている。とても長い作品だが、この時代に興味のある人にはお勧めです。2019/12/15
あも
81
長かった。とてもとても長かった。喩えるなら雄大な山を、時折飛び立つ鳥の姿に目をやりながら日がな一日眺めているような心持ち。このタイトル一つで分かるキャラの立った人物・板垣退助。幕末…と言われた時に思い浮かぶのは新撰組など敗れし者達の滅びの美学や薩摩長州の志士らの苦難に立ち向かう姿。土佐藩の上士として産まれ、時流に乗り、会津を滅ぼし、更に普段描かれることのない維新後の政治が見れるのかとワクワクしたが、魅力も能力も伝わってこない主人公の感情の乗らない報告書を淡々と読まされる500ページの遙かなる旅路であった。2020/02/07
hiro
76
板垣退助といえば、自由民権運動、板垣死すとも自由は死せず、昔の100円札の肖像が思い浮かぶが、それほど詳しく知らなかった。その生涯を2段組557頁で描いた作品だが、さすがに読み終えるまでは時間がかかった。同じ土佐出身の坂本龍馬と比べると、人気はそれほど高くはないかもしれないが、この本を読むと日本の政治に大きな影響を与えた人物であることもよくわかる。幕末についても、新選組や龍馬が主人公の小説を読んできたが、そこでは登場しない甲府や会津での戦いなどについも知ることができた。次は『東京、はじまる』へ進もう。2021/01/16
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- 唯誠 - さらば矢野康生