出版社内容情報
次々とイレス患者のマブイグミに成功する識名愛衣。患者たちの心の傷は最近都内西部で頻発する猟奇殺人と繋がっていることが次第に分かってきた。しかも、この事件は23年前の少年Xによる通り魔殺人とも繋がっている。少年X……それは愛衣自身の忌まわしきトラウマでもあった。過去を乗り超えるため、患者を救うため、愛衣はこの難事件の真相究明に挑む。
『崩れる脳を抱きしめて』『ひとつむぎの手』
2年連続本屋大賞ノミネートの著者最新作、感動のフィナーレ!
内容説明
眠りから醒めない四人の患者、猟奇的連続殺人、少年Xの正体。すべては繋がり、世界は一変する。一気読み必至、感動の結末。
著者等紹介
知念実希人[チネンミキト]
1978年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業後、内科医に。2011年、ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、『誰がための刃 レゾンデートル』(『レゾンデートル』に改題して19年に文庫化)でデビュー。18年に『崩れる脳を抱きしめて』、19年に『ひとつむぎの手』が続けて本屋大賞ベスト10入りを果たす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bunmei
518
上巻から、より一層のファンタジー色が濃くなる一方で、連続殺人事件の真相にも迫るサスペンス要素も深まります。物語に描かれた夢幻の世界観に、自分もどっぷり浸かって、最後の頁を閉じました。上巻からのイレス患者の4人や少年X、それらと愛衣との関係性など、様々な伏線が綿密に練られており、知念氏の構成の巧みさが見事なストーリー展開。最後のラスボス登場場面は、RPGを楽しんでいるような感覚でした。「夢幻の愛衣」は「無限の愛」に包まれていることを知ることで、表題の著す意味にも大いに納得し、温かさを残す幕引きとなりました。2019/10/31
ウッディ
495
上巻で感じた違和感は、4人目のイレス患者が誰かという謎が明らかになるとともに腑に落ちた感じでしたが、夢幻の世界と現実との境界があいまいになり、頭の中がこんがらがってしまった。母を奪った大量殺人犯である少年Xが、名前を変えて精神科の教授になり、患者を洗脳するという設定は、無理があるような・・。伏線を回収して上手く収めた感はあるものの、すっきりしない読後感でした。医療とミステリーとファンタジーを融合した意欲作ではありましたが、色んなものを盛り込み過ぎて、中途半端になってしまった印象でした。2020/11/18
sayan
437
本書が面白かったか否かと問われれば、もちろん面白かった。上巻は冗長だな…と、ファンタジー部分が現れるたびに正直思っていた。下巻中盤から結末に向かうミステリー部分を軸とした物語展開は一気に読み終える事が出来た。とは言え、上巻と同じく度々挿入される抽象的な戦闘シーンの描写とやり取りには少し興醒めしてしまった。少年Xを巡るやり取りや謎解きがスリリングだっただけにちょっと残念だったなと。まあ、個人的な好みの問題だろう。少し時間を空けて著者の他作品を読んでみたいと思う。2020/02/16
Yunemo
427
何故だか、分からずのままに。現実に起きてる事件とファンタジーの世界の融合なんでしょうけど。夢幻の愛衣から無限の愛に辿り着くまでの行程?3人のイレス患者の原体験こそが本質であり、救うべき愛衣自身の心情になかなか到達できずに、モヤモヤした感が最後まであって。でもこういうことかと、何となく感じていたままに。もう一つ、現実の世界で、23年にも亘って殺人という快楽性から抜け出せずに生きてきた人格の存在って、あり?この仮面をかぶったままに生きてる人間って、今、多数存在。垣間見られる事件の概要、犯人の特殊性、現実にも。2020/02/24
Makoto Yamamoto
367
ムゲン・夢幻・無限、i、愛衣、愛への変化が面白い。 ストーリーも、夢が入れ子になっていたりして、幕間でようやく理解できたほど。 しかし、意味するこれほどの展開は想像していなかったので改めて、著者の他の本を読みたくなった。 本屋大賞にノミネートされたとのこと。 対象になるのは当然で、大賞をとれるかが興味の的。2020/01/23
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