出版社内容情報
妊娠した。周りは正しい妊婦であるよう求めてくる(「理想のいれもの」)。鼻のつけ根にある大きなホクロ。コンプレックスから解放される日が来た(「君の線、僕の点」)。中学生の息子に髭、自分の頭には白いものが(「彼方のアイドル」)。誰もが経験しうる、身体にまつわるあれこれ。そこから見えてくる新たな景色を、やわらかな眼差しで掬いとった短編集。
内容説明
昨日までの自分と、今日からの自分。世界が変わっても、私はここにいる。私たちの身体に起きた、あれこれ。そこから見えてくる、新たな景色とは―。爽やかな共感と希望をもたらす五編。
著者等紹介
奥田亜希子[オクダアキコ]
1983年愛知県生まれ。愛知大学文学部哲学科卒業。2013年『左目に映る星』で第37回すばる文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
❁かな❁
138
奥田亜希子さんの作品を読むのは2作目。自分の身体に起こった変化、昔からのコンプレックスなど、みんな悩みを抱えて悶々としている。妊娠中のお話の「理想のいれもの」を読みながら悪阻の頃を思い出した。スイさんとの素敵な出逢いの「花入りのアンバー」良かった。「君の線、僕の点」のコンプレックスで人見知りの晴希の日常は辛いだろうなと思ったけど後半の展開に嬉しくなる。自分が思っている程まわりはそんなに気にしていないんだろうな。「彼方のアイドル」のラストも良い。どのお話もほんわか優しい終わり方で好み。#Netgalley2019/05/30
うどん
115
面白かったー!「彼方のアイドル」は今実際息子が小学生なので髭が生えてきたりしたら...。自分に置き換えて読みました。2019/07/12
ままこ
108
身体に何かしら変化があったのを境目にこれまでと何かが変わってしまったと感じる人達の短編集。「理想のいれもの」ラストはもう少女漫画の世界♡「花入りのアンバー」スイさんお茶目。「彼方のアイドル」悶々とした子離れ。「キャッチボール・アット・リバーサイド」智子の気持ちもわかる。気になっていることをまともに相手してもらえないと辛い。大事な事に気づけて良かった。どの作品もリアリティがあり読後感が良い。2019/08/17
ででんでん
107
お気に入りさんのレビューで気になった本。とてもよかった😊さまざまな人の、人生の中でのいろいろな時期を描く5編の物語。性別年齢もそれぞれに違う登場人物だが、どの編にも、人生のある時期の自分がひょっこりと顔を出しているように思えて、身近に感じられた。「花入りのアンバー」の、好きなおかずを最後までとっておく子どもだった美鶴。あることから、「安心と安定と安全」を心がけてきた自分は一体何を守りたかったのかと、彼女の願望が解き放たれて…素敵な出会いが…翠子さん♥他編の晴希や敦子の中にもいつかのどこかの私が隠れている2019/08/19
のんき
104
どの短編も希望が持てる最後に好感が持てます。「彼方のアイドル」が印象に残りましたー。思春期の息子、太一にクソババアと言われ、喧嘩して、ほとんど話しもしません。それで、母親の敦子は、太一を放っておいて、内緒で、誘われてた国民的アイドルのコンサートに行きます。誘った織江から「太一が大きくなってもアイドルにはさせない。太一は、わたしだけのアイドルだから」って話してたことを聞かされます。反抗期でも、クソババアと言われても、喧嘩しても、一番のアイドルは息子だし、きっと太一にも母親の気持ちは伝わってるって思います2019/10/15