出版社内容情報
大ヒット作『横浜駅SF』の著者による連作小説! 平成よりちょっと先の未来、国民は99%の働かない<消費者>と、働く1%のエリート<生産者>に分類されている。労働の必要はない時代だけど、仕事を斡旋する職安の需要は健在。いろんな事情を抱えた消費者が、今日も仕事を求めて職安にやってくる。斬新だけどほっこり、近未来型お仕事小説の登場!
柞刈湯葉[イスカリユバ]
著・文・その他
内容説明
99%の“消費者”と1%の“生産者”。平成よりちょっと先の世界。完全自動運転、ネコッポイド、警察ロボ、配達渡し鳥…いろんなことがオートの近未来、国民には厚生福祉省から生活基本金が支給されている。労働の必要はないけれど、職安の需要は、まだまだ健在。ヤクザみたいな風貌の職安経営者・大塚さん、女性事務員・目黒のもとに、仕事を求めて今日も妙なお客さんが現れる―。常識をくつがえす近未来お仕事小説。
著者等紹介
柞刈湯葉[イスカリユバ]
福島県出身。大学勤務の研究者。2016年『横浜駅SF』(カドカワBOOKS)で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
🐾Yoko Omoto🐾
149
あらゆる労働においてロボット化が進み、ヒトの労働力がほぼ不要になった約50年後辺りの近未来。国から給付される生活基本給で暮らす「消費者」が99%、仕事をして稼ぐ「生産者」が1%という世の中で、人にしか出来ない仕事を斡旋する私設会社「職安」が舞台。何もかもがオートマになった夢のような時代でも、無いものをねだったり他者との差別化を望んだり生き辛さを抱えていたり、人間はどこまで行っても貪欲でその本質は変わらない。面白かったものの、未来の設定を説明するためのストーリーという印象が拭えず盛り上がりに欠けたのが残念。2018/09/08
ままこ
94
日本人の99%が生活基本金をもらい働かない。働いているのは僅か1%という近未来。謎多き副所長の元で職安の事務員として働く主人公。依頼人に斡旋する仕事も変わっている。それぞれ悩みはあるけれど飄々としてゆるい展開なので深刻にならずサクサク読みやすい。「けけけっ」この猫の鳴き声は知らない人が聞けば何⁉︎と思うだろうな。2019/03/14
☆よいこ
87
ベーシックインカムな近未来。9割の国民は「消費者」として暮らす。殆どの仕事は機械化し、人々は生活基本金で生きることができるので、仕事をする「生産者」はごく一部。目黒は母親の再婚相手が好きになれず、家族と生活をしたくないがために生産者になる。県庁に務めたが事故があり退職、その後変わり者の大塚が経営する職業案内所で事務員になった。大塚は機械が苦手、所長は生猫のスコティッシュフォールド。全てがオートメーション化された社会の中であえて働きたいという数少ない人を相手に働く。▽世界観は面白いけどなんか冴えない日常系2022/05/21
keroppi
67
99%の人が働かなくていい未来の職安が舞台。あーこんなこともあるかもと思わせるエピソードも多い。でも、そんな時代になったら何を生きがいとして生きるのだろう?すべてが機械化されている中で、手描きの漫画を描き続ける老人が印象に残った。2018/09/30
野のこ
65
99%の人たちが生活基本金が支給される「消費者」とごく1%の人たちが機械では代行できない仕事をする「生産者」で成り立ってる70年後?くらい未来の設定。「いるだけでいい」仕事や、仕事をしない生き方に 生きがいややりがいを考えさせられました。癖のある登場人物、冷めてるのにちょっとくすっとなるユニークな文章が好み。人間の本質に興味を持つ大塚さん、所長は生猫。何気に苗字が全員、山手線なことに気づきました。なんか意味あるのかなぁ著者の遊び心?初読み作家さんでこれから注目したいと思いました。2018/10/15