出版社内容情報
坂井 希久子[サカイ キクコ]
著・文・その他
内容説明
真理奈は高校三年生。自分が医学部を目指したばかりに、代々銭湯を営んでいた実家は廃業。大好きな母方の祖母・清ばあは惚けが進み、父とその両親は家でごろごろするばかり。おまけに学校では友人との三角関係に巻き込まれて息がつまりそう。そんな彼女の前に、母方の祖父・晴じいがごついハーレーに乗って現れた。真理奈をタンデムシートに乗せて晴じいが向かった先は―ヒロインの成長ぶりがみずみずしい!『ヒーローインタビュー』の著者が贈る青春家族小説
著者等紹介
坂井希久子[サカイキクコ]
1977年和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部日本語日本文学科卒業。2008年、「虫のいどころ」で第88回オール讀物新人賞を受賞。2013年、『泣いたらアカンで通天閣』が「読売テレビ開局55記念ドラマ」として映像化。2015年、『ヒーローインタビュー』が「本の雑誌増刊・おすすめ文庫王国2016」のエンターテインメント部門第1位に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
240
あらゆる作風で読者を楽しませてくれる坂井さんですが、本作もほのぼのとココロを和ませてくれました。自分の将来に迷い、家庭での関係に悩み、友人との三角関係に悶々とする日々を過ごしている高校生「真理奈」のもとに現れたのは風来坊のような日々を過ごしている祖父「晴じい」。ワイルドでとにかく‘自由’な「晴じい」と孫「真理奈」の突然に始まった二人旅の中で彼女は自分を知らない人々と関わるコトで、しっかりと自分自身を見つめなそいていきます。そっけないながらもしっかりと孫娘にたっぷりと愛情を注ぐ「晴じい」にグッときますね。2016/05/31
みかん🍊
105
進学、家族、友人関係に窮屈さを感じていた高三の夏、ハーレーに乗った祖父と旅に出てしまう、受験生が大丈夫なのかと心配してしまうがこの型破りのじじいがなかなかカッコイイ、優等生な真理奈にとって将来祖父母、両親の6人の老後を一人で抱えることになるであろう重圧から逃れられないと思い込む、これは現代の若者が抱える少子高齢化の課題でもある、訪れた農家の現実もしかり、祖父母の母の若かりし頃の事を見聞きし見方も変わっていく。今の若者は真面目で親の経済状況にも気を遣う、もっと自由に羽ばたいて欲しいと実は親は思っています。2016/07/28
takaC
105
センコともゼンさんともあずさとも岸峰子とも全く違うタイプの話だったけどこれはこれでまたとても良かった。希久子さんお見それしました。いや、固め読みしているくらいだから無意識に察知していたんだろうね、自分。2016/06/27
ゆみねこ
92
医学部進学を目指す高3の真理奈と風来坊の晴じい。ハーレーに乗って旅に出て一週間。見えてきた家族のつながりと歴史、とても面白く読み終えてほっこり。桃子お母さんの格好よさは、晴じいゆずり。お勧めします。2017/03/02
nico🐬波待ち中
91
ハーレーを乗り回すカッコよくてファンキーな祖父との夏の逃避行を描いた物語。卒業後の進路や友人関係等悩みの尽きない高校3年生の真理奈。鬱々とした日々をおくる真理奈の前に、ハーレーに乗って颯爽と現れたのは祖父・晴じい。この型破りな晴じいが魅力的。例えるならジブリ映画『紅の豚』のポルコ。渋くてカッコいいんだけれど照れるとカワイイ。祖母・清ばあや真理奈に翻弄されるところもポルコそっくりで女心をくすぐる。優等生の良い子ちゃんの真理奈が、晴じいとの旅を通して少しずつ自分の殻を破って弾けていく様子が清々しい物語だった。2021/07/18