出版社内容情報
ラボの試料保管室から脱走したRB203は、研究員たちに〈わるいうさぎ〉と呼ばれていた。泣ける連作短編集。
内容説明
ラボから脱走したわるいうさぎ、穴に挟まった饒舌なねずみ、“夜の当番”をさせられるたぬき、猛獣を愛し食べられたいと願ううさぎ、生き別れた母を探すとり―彼らがいる世界はどこかで少しずつ繋がっている。
著者等紹介
中島さなえ[ナカジマサナエ]
1978年兵庫県生まれ。大阪音楽大学短期大学部卒業。父は故・中島らも。2010年『いちにち8ミリの。』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆかーん
58
ぼくの名前は「わるいうさぎ」というんだと飄々と語る一匹のうさぎ。とある研究室で、実験用のうさぎとして飼われていた彼は、実験中に暴れる凶暴な姿から「わるいうさぎ」と呼ばれていました。施設の生活は酷いものでした。実験三昧の生活に嫌気がさした彼は、実験施設から脱走し、広い世界で沢山の動物たちに出会います。しかし、どの動物も一癖あるものばかり…。童話のような可愛らしい物語を想像していましたが、ダークでグロテスクな真逆の世界が待ち受けていました。動物の愛らしい物語と思って読んではいけない一冊でした。2016/01/20
ぽぽ
29
ラボから逃走したうさぎが飛び込んだ森。たぬき、ねずみ、タカ、犬…様々な動物たちが個性的に生きている。帯には“大人の童話”とあるが、確かにブラックユーモアが効いている。彼に食べられたいと望み続けるうさぎの話が可愛かったな。2019/10/02
み
24
ジャケ借り。心が痛い(>_<)実験動物を擬人化しないで。実験してる側も心はあるのです(^^;つい手にしてしまい後悔。2016/02/07
空猫
20
表紙に惹かれて。ラボから脱走した「わるいうさぎ(RB203)」が逃げ込んだ森での緩く繋がった6つの短編。人生相談を受けるネズミ、タヌキ界で君臨する暴虐ボス、かまってちゃんな飼い犬、不幸な恋に堕ちるウサギ姉妹、森を警備するタカ…。いわゆる動物を擬人化した寓話、しかも皮肉さ全開。独特の語り口が癖になりそうだ。何のかんのあれど世界はひとつで今日も地球は回っているのだ。2018/11/13
タカラ~ム
20
中島さなえの小説を読むのは久しぶり。本作も面白くて一気読みだった。動物を主人公にした連作短編で、となるとほのぼのしたファンタジーなのかなと思わせるが、そこは中島さなえらしくダークでシニカルな世界を描いている。どうしても父の中島らもと比較してしまって、著者にとってはウンザリかもしれないけど、あの“らもワールド”を今描き出せるのは著者だけだと思うので、今後も作品を追いかけて行こうと思っています。2016/02/07