内容説明
版画家の黒木が消えた。美しい蝶“ユリシス”の木版画を託された親友の善如寺は、黒木の才能を信じ、この「複数性に頼らない、絵画のような版画」を大切に守ってきた。だが18年後、善如寺は4枚もの複製の存在を知る。それらは偽物なのか?あるいは黒木に裏切られていたのか?衝撃を受けた善如寺が探偵に依頼した調査は、思わぬ人物へと波紋を広げてゆく。“信頼”と“希望”をめぐる傑作長編ミステリー。
著者等紹介
吉永南央[ヨシナガナオ]
964年、埼玉県生まれ。群馬県立女子大学卒業。2004年、「紅雲町のお草」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。08年、同作を含む『紅雲町ものがたり』(文庫化に際し『萩を揺らす雨』に改題)で単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
101
短編集っぽい長編。結局何で死んだの?よく読み取れなかった・・・。2017/11/24
あつひめ
59
紅雲町珈琲屋こよみのようなイメージで手にしたけれど…1ページ目をめくって自分のイメージが間違っていたことを感じた。第1章で手こずったものの、関係者からの視点のように次々語りが変わると引き込まれてしまった。他の読者の感想同様、死因が何だったのか…ということにぶち当たるが、長い間秘密を抱えて生きることの不安が表されている気がする。微笑ましいような場面の無い、ユリシスの翅の色の美しさだけが際立っている。色んな作品が書けるんだなぁ。作家さんはスゴイ‼︎2016/02/07
ゆみねこ
56
美しい青い翅を持つ、ユリシス。その版画を作った天才作家黒木は行方不明となり、1枚しか存在しないはずの版画はあと4枚現存した。時が経ち、黒木の白骨化した遺体が山中から発見される。黒木は何故亡くなったのか?そこは曖昧だったけれど、秘密を抱えて生き続ける人々の重苦しい感情とユリシスの美しい青い色が印象的でした。2016/02/13
むつぞー
37
章ごとに登場人物が変わります。 最初その違い故にあれ全く関係ない短篇集だったの?と思ったのですが、さらに章が進んでいくことで、その関わりも、そして4枚もの複製の存在理由もわかってきます。でもミステリとしてみたらまだまだ謎は残っているし、スッキリとはしません。 でもこれはミステリではないのだと思います。 この版画に関わった人達を描いた人間ドラマなのでしょう。 人生なんてスッキリと割り切れるものはないし、謎なんていくらでもあるものなのです。 そう思うと、この話に、このラストはとても似合っていると思います。2015/01/25
わんこのしっぽ
33
ユリシス(オオルリアゲハ)の翅は裏は周りに木々に溶け込める黒、表は光が反射して数百メートル先まで見える虹青色をしている。鮮やかな翅の色に魅かれ近付くと急に見知らぬ姿に、光り輝いていた姿はどこにもいない。困惑している自分の傍を蝶はひらひらと光と闇を見せながら通り過ぎていく。光と闇、善と悪に戸惑いながらも人は人を惹きつける。『ユリシス』の謎に導かれた人達の多面性と思いが少しずつ真相に迫っていく。ひらひらと舞うユリシスのように魅入ってしまう一冊。2015/02/22
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