内容説明
岡野藩領内で隣国との境にある峠の茶店。小柄で寡黙な半平という亭主と、「峠の弁天様」と旅人に親しまれる志乃という女房が十年ほど前から老夫婦より引き継ぎ、慎ましく暮らしていた。ところが、ある年の夏、半平と志乃を討つために隣国の結城藩から屈強な七人組の侍が訪ねてきた。ふたりの過去に何があったのか。なぜ斬られなければならないのか。話は十五年前の夏に遡る―。『蜩ノ記』『川あかり』の著者による傑作時代小説。
著者等紹介
葉室麟[ハムロリン]
1951年北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者を経て、2005年『乾山晩愁』で第29回歴史文学賞を受賞し、デビュー。07年『銀漢の賦』で第14回松本清張賞、12年『蜩ノ記』で第146回直木賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナイスネイチャ
174
図書館本。初読み作家さん。素直に面白かった。人情あり、家族愛あり、お家騒動あり、チャンバラありと時代劇必要項目フルコースでした。特に女盗賊お仙が良かったなぁ~。別作品も積読しているので読んでみたいです。2015/05/10
mint☆
112
再読。読み始めてすぐに読んだことがあることに気づいたが、ぐいぐい引き込まれてそのまま読みきった。峠の茶屋で弁天様と呼ばれている志乃と、寡黙な店の主人の半平。二人は武家の出らしいと噂されているが誰も正体を知らない。信じ合う夫婦の愛、母娘の絆にホロリとした。大切なものを守ろうとする人は強い。2020/05/02
それいゆ
96
許されぬ恋、華のある美しいヒロインが登場するという葉室さん得意のパターンでした。最後に半平がどうなるのかやきもきしましたが、心やすらぐ結末にホッとしました。映像化を切望します。志乃役は檀れい、盗賊のゆり役は真木よう子か二階堂ふみがぴったりだと思います。2015/02/01
ゆみねこ
80
結城藩と岡野藩を結ぶ街道の途中にある弁天峠で茶屋を営む夫婦は、訳あり。盗賊やお家騒動、藩内の権力闘争などに、凄腕の剣を使う半平と聡明な志乃が大活躍。重厚な時代物ではないけれど、文句なしにたのしめました。2016/01/09
酔拳
63
峠にある茶店を営む、寡黙な亭主「半平」と弁天様といわれる程の美貌の「志乃」夫婦を中心に話はすすむ。二人には、15年前、人には言われない訳があり、出奔した過去があるのだが、それを思わせない、二人の凛とした生き方が清々しい。そして、過去の因果で、二人を狙う、侍達や、盗賊が峠にやってくるのだが・・・・元武家だった「半平」の剣の腕と「志乃」の明晰な立ち振る舞いで切り抜けていく。特に、盗賊の女頭とその娘との対決が気になったが、女頭とその娘が、改心していく姿が、胸をうちます。時代小説の醍醐味が味わえる作品です。2019/10/12
-
- 洋書
- MUTATIONS