出版社内容情報
巷には自己中心的な人、無神経な人など、総じておかしな人がふえている。それを象徴するかのような鹿島田家の人々の日常をシニカルに描ききることで見えてくる不気味な世界。問題作「風紋」の作者が贈るエンターテインメントノベルの傑作。
内容説明
平凡な日常ほど悪意に満ちたものはない。わたしの願いはただひとつ幸せになること。エンターテインメントの域を越えた傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
110
ウツボカズラは、食虫植物で自ら動くことはなく、虫がかかるのを待つ。高校を卒業し上京し、親戚の鹿島田家で暮らすことになる未芙由の人生は、まさにウツボカズラの生き方。鹿島田家は家族は、お互い嫌悪し合っているわけではないのに、ばらばら。そんな中で、未芙由はダンナさんと息子の隆平と関係を結ぶが、未芙由と本人以外は分からない。ダンナさんは転勤、妻の朋子は若い恋人と家を出る、娘の美緒は海外に、一気に崩壊する家族がそこにある。長男の隆平と未芙由は、祖母の意向もあり結婚する。幸せを望むことは罪なのか?ふと考える。2023/06/24
あつひめ
102
ウツボカズラかぁ。よくそのタイトルを当て込んだものだとあまりにもマッチしていて最後の行を読み終えてふふんっと笑ってしまった。子供の頃から人の幸福そうな姿ばかりを目にしてきた未芙由。人が生きるためには正直にだけでは生きていけない。それは、どんな人だって感じていることだろう。おばさん、はとこ、おばさんの友人と女の生き様が描かれ、それと並行して未芙由も自分の幸せのために奮闘している。自分の中に飛び込んでくるものを逃さない…ウツボカズラそっくりだ。最後は勝ち組になったようだが、最後の最後までわからないのが人生さ。2014/04/05
さっこ
74
前に志田未来ちゃんでドラマ化していたな~と思いながら読んでみた。母が亡くなり父から追い出されるように東京の知り合いのところへ居候することになった未芙由。都会の生活の中で誰よりも幸せになりたいと願う未芙由は強くしたたかに生食していく。まるでウツボカズラのように。でも未芙由がいなくてもこの家庭は崩壊したんじゃないのかな…とも思う。読みやすかったです。2021/07/15
ミーコ
62
途中までは淡々と読んでましたが そこからは、二時間ドラマを観てる様に引き込まれて読みました。 美芙由が、徐々に変わって行く様から目が離せなくなりました。流石にダンナ様との関係には 驚きました。が誰かを陥れる訳じゃなく、家の事もきちんとこなし、祖母の介護まで 中々 出来る事ではないので したたかに生きて行くのも良いのじゃないでしょうか? 私には真似の出来ない生き方です。2014/09/10
そのぼん
42
母が亡くなり、父が新しい家庭を持つことになった為、親戚の家でお世話になることになった主人公。心暖まるお話になるのかと思いきや、段々不穏な方向へと・・・。誰にも感情移入出来なかったせいか、途中から流し読み・・・。ラストもなんだかモヤモヤしました。2012/10/23