内容説明
受けとめきれない現実。止まってしまった時間―。だけど少しだけ、がんばればいい。きっとまた、スタートできる。家族、恋人たちの温かなつながりが心にまっすぐ届いて、じんとしみわたる。軽やかな希望に満ちた3編を収録。
著者等紹介
瀬尾まいこ[セオマイコ]
1974年大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒業。2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞。2作を収録した『卵の緒』でデビュー。2005年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞を受賞。今もっとも注目の作家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
268
突然できた彼女には愛されていて、その両親からも好感を持たれている。なのに割り切れない気持ちが。作者がその理由を見事に描いていて感心してしまった。さてそこから状況をどのように解決していくのか。それもまた見事で、タイトル作だけのことはあると思った。「タイムラグ」は女性の立場から、対立してもおかしくない女性を擁護する話。「がらくた効果」も奇妙な味と思わせて、後味のよい作品に仕上げていて、3編とも心があったかくなった。2019/07/18
おしゃべりメガネ
231
瀬尾まいこさん強化期間第2弾。今作も表題作より二作目に収録されている『タイムラグ』が素晴らしかったです(^-^)♪不倫ネタからスタートして、まさか最後にそんな着地点を用意しているとは(^-^)。どの作品も人間が忘れてはいけない優しさや思いやりをしっかり思い出させてくれる内容です。うっすらミステリー要素も盛り込んでいるので、飽きずに読むことができます。やっぱり人間ってたくましくもあり、タフで生きていかなければならない反面、スッと肩のチカラを抜く必要があるときは無理してはいけないんだなと思いました。2013/09/22
やすらぎ
214
人と人がふとしたきっかけで見つめ合い、優しい音色が共鳴すれば、爽やかな風に運ばれて信頼が生まれる。どうしようもない辛さに耐えていると、冷たい手をそっと近づいて温めてくれる。ずっと誰かと居続けなければいけない。その呪縛が鍵をかけ塞いでしまう時がある。お互いへの敬いが薄れてしまい言葉がきつくなり、目を見なくなり手をつながなくなったりして少しずつ離れていく。そんな時にも何かのきっかけがあれば、少しずつまた近づいてまた手を取り合うことができる、そう信じていたい。それって必然なのかもしれないから。近しい人を大切に。2018/12/31
人間万事塞翁が馬ZAWAZAWA
187
「ティアーズ・イン・ヘブン」は、クラプトンの曲の中でも私の一番のお気に入りです。NHKでクラプトンの特集があり、息子を不良の事故で亡くしたクラプトンが、息子を思い書いた曲。その曲を見事に小説に取り入れていた。勘違いで始めて、なんとか吹けるようになったフルート。下手な演奏でも、魂の入った演奏は人の心を打つし、合奏となれば連帯感や共感、感動も別次元! また、瀬尾さんに頭をガツンとやられた感じがしました。短編でありながら、人に優しさを感じさせてくれる瀬尾ワールド。題名の通り、心の中に優しい音楽が流れた。2014/05/28
初雪ハロー
181
かなり不思議で、面白かったです。2019/04/29