内容説明
生きていることは、誰かを待つこと愛おしいものを見続けること。巡礼の道を舞台に、幾多の苦難を越え健気に生きた孤児の物語。大人のための絵本。
著者等紹介
伊集院静[イジュウインシズカ]
1950年山口県生まれ。『受け月』で直木賞、『機関車先生』で柴田錬三郎賞、『ごろごろ』で吉川英治文学賞受賞
米田民穂[マイタタミホ]
1962年青森県生まれ。武蔵野美術大学卒業。1988年から10年間バルセロナ、パリで制作活動。主な個展は伊勢丹新宿店、東急Bunkamuraギャラリーなどで(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chimako
12
伊集院静氏の絵本。戦争で壊された教会で拾われた男はただひたすらに石を切り出し道を作る。男を育ててくれたのは石の声が聞こえる石切職人。男たちが願ったのは戦争のない峠道。巡礼の道は神に通じ再び人々の笑い声が響く。見返りを望まない心と行動は美しい。米田民穂氏の絵も大人向け。2013/06/05
読書国の仮住まい
3
北から南へ高い山々が連なる。 東と西にある国は長い間戦争を繰り返す。 その山の峠の石切場で暮らす老人と犬。 かつて教会であった跡に捨てられていた赤子を拾う。 赤ん坊はすくすく育ち、読み書きを教える。 やがて老人と犬が亡くなり一人となった若者は足を並べて道を作る。 そしてあの教会跡に石を積み、再建しようと汗を流す。 そうして完成した教会の祭壇に預かっていた木偶の神様像を飾り、男は息を引き取る。 ようやく東西国は終戦を迎え、少しずつ村に人が増えてくる。 峠は憩いの場となり歌が響く。 峠に喜びが帰ってきたのだ。2024/01/30