感想・レビュー
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kero385
1
フォークナー最初の長編小説。初期詩集「大理石の牧羊神」と「緑の大枝」に通底するリリシズム溢れる自然描写がいい。 後に書かれた「土埃にまみれた旗(サートリス原典)」の自然描写とも共通する。 ドナルド・メアンは中心人物はあるが、動くことも話すことも不自由な傷痍帰還兵。彼を巡って、帰還途中で出会ったギリガンやミセス・パワーズ、メアンの婚約者等が物語を紡いで行くのだが、ジャニアリス・ジョーンズという牧羊神のような好色な人物の登場は興味深い。 世紀末前後のヨーロッパ文化の影響を感じる。そんな一面も興味深い小説。2024/09/07