- ホーム
- > 和書
- > 児童
- > ノンフィクション
- > ノンフィクションその他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sui
29
読み始めると、幻想的でどこか物悲しい空気に惹かれて一気に読んだ。子供の寂しさは、守ってくれる大人が抱き締めてくれる事でなくなるけれど、大人の寂しさは難しい。素直になれない時は尚のこと。大人向けのファンタジーを堪能できた満足感でいっぱいです。2016/11/09
きゅー
18
大人のための童話という言葉を耳にする。どことなく媚びたような、甘ったるさを感じさせる言葉だが、本書は良い意味での大人のための童話となっている。それは、この物語の主人公が幼い姉弟ではなく、むしろ問題を抱えた領主夫妻や、魔女フラクサにあるように読めるからだ。姉弟は未知の世界で翻弄され、為す術もない。彼らを取りまく人々が自分自身と対決し、ついには自分自身の主人となることで結末を迎える。対決へと向かう終盤も、たんに善悪の争闘としては表現されない。物語の単純さの奥にある豊かさがしみじみと湧き出てくる一冊。2015/06/16
Totsuka Yoshihide
14
国際アンデルセン賞を受賞したマリア・グリーペ作、大久保貞子訳、(1979)、『忘れ川をこえた子どもたち』、冨山房。挿し絵は夫ハラルド店名グリーべの手によるもの。お話の内容は、貧しいガラス職人の2人の子どもたちが、ある日突然行方不明になる話。スウェーデンの幻想物語。本を読むとスウェーデンのガラス器をみたくなる。オススメです。2025/03/16
HISA
8
☆☆☆不思議な味わいがあって、物語の中に入り込んでいった。最近の児童文学よりぐんと格調が高い。2021/12/11
円盤人
6
児童書の体裁を取った大人向けの幻想小説であるように思う。というのは、主人公がクララとクラースのようでいて、彼ら側の視点から物語が展開していかないのである。幼い姉弟が何を考えたか、ということはたびたび書かれても、彼らには満足にセリフすらないのだ。作中で子供が起こしてしまう行動についても、あくまでも「外側」から描かれている。これは子供を中心にした、ガラス職人夫妻と、占い婆と、伯爵夫妻の物語であり、我々大人こそ、展開される哲学的な問いにハッとさせられることだろう。2018/06/07