出版社内容情報
一世を風靡した食の雑誌(昭和26〜43年)全巻から、忘れがたい味覚に伴う人生の折々を語る、珠玉の随筆129編を精選、全3巻にまとめる。第1巻は司馬遼太郎氏らの作家篇、第2巻は小林秀雄氏らの学者・評論家篇、第3巻は團伊玖磨氏らの諸家篇と充実の豪華執筆陣。
目次
火(幸田文)
きんとん(阿部艶子)
美食の裏街道から(今官一)
おでん地獄(寺内大吉)
父母のたべもの(武田泰淳)
にぎりめし(渡辺喜恵子)
おもいだす冬のたべもの(北畠八穂)
思い出(原田康子)
津軽の味(今東光)
カワセミの精(黒岩重吾)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shin
10
〈bibliophilic〉というネコをモチーフにした読書グッズショップが最近お気に入りで、その店に並べられている本にもちょっと惚れたりしている。その中の一冊なのだけれど、並み居る文豪・文化人たちが心待ちにし、廃刊を心から惜しんだと言われる雑誌の抄録だけあって、日本における〈食のエッセー〉の名作がこれでもかと詰め込まれている。誰でも知っているようなビッグネームが名を連ねるのだけれど、彼らが抱く思いのほか平凡な(しかし豊かな)食への想いが人間臭くて親近感を感じる。こんな本を手元に置けることを幸せに思う。2013/10/06
醗酵
3
終戦後間もなくから東京オリンピック後にかけての刊行・終刊だったらしい。当時の文化人ら書き手それぞれの食の体験(記憶)から綴られる文章はパーソナル過ぎてグッとくる。まさに味わうように読んだ。古本で知った「あまカラ」の表紙はどれも素敵だったので、表紙も載せてくれたらいいのにね。2015/03/14
Bibliotheca
0
和菓子屋の鶴屋八幡がスポンサーとなって昭和26年8月創刊、昭和43年4月に惜しまれながら200号で終刊した雑誌「あまカラ」。「食」をテーマとして各界の著名人が綴った随筆は短い中に旨みが凝縮されており、うまそうというよりもこういう文章を書いてみたいと思わせるものばかり。一巻目は作家篇。幸田文、武田泰淳、今東光、井上靖、伊藤整、開高健、大岡昇平、梅崎春生、佐藤春夫、大佛次郎、田宮虎彦、有吉佐和子など44名を収録している。2012/12/23
のんき
0
吉田健一のエッセイで昔「あまカラ」という食の雑誌があったことを知り興味を覚えた直後、本屋で新刊でもないのに何故か平積みになっている本書を発見する。たまにこういう出会いがあるから本屋通いはやめられない。一冊目は作家編。2010/10/11
志村真幸
0
雑誌『あまカラ』から抜粋した随筆集である。 全3巻で、第1巻は「作家篇」。 幸田文「火」、武田泰淳「父母のたべもの」、今東光「津軽の味」、井上靖「ほんとうのライスカレー」、伊藤整「無関心な飲食者」、開高健「紳士の乳」、獅子文六「ナプキン」、大岡昇平「巴里の酢豆腐」など45篇が収められている。 いずれもきわめて質の高いエッセイ。 食べもの随筆の最高峰のひとつではないか。 2020/02/11