出版社内容情報
世に棲む人びとのありようを、くっきりと、ユーモラスに寸描した名コラム随筆の決定版。大正・昭和初に新聞・雑誌に連載された全篇を収める。雅の詩人としての前身とは打って変わって、人間知の造詣を鮮やかな散文芸に籠めて、俗中の真を書きとどめた。(解説 : 向井 敏)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aminadab
25
中断して長らく書架にあったのを読み切った。薄田泣菫の大人気コラム『茶話』八百余篇は、主に大正5~8年に大阪毎日新聞に載った。何度も単行本にまとめられ、岩波文庫にも入っているが、実名入りゴシップの分は単行本化にあたり省かれたり改稿されたりすることが多かった。この冨山房版(1984年)は編者の谷沢永一と浦西和彦が初出掲載紙を参照して最初に書かれたままをテキスト化したもの。下巻は前半が大正8年で、後半は昭和5年にかけてぽつぽつ断続的に載った分。文章は簡潔で平明、短くまとめて落ちをつける腕前も鮮やかです。2022/05/12
筑紫の國造
3
『茶話』もこれで最後。やはり、週刊誌連載になってからは若干力が落ちる感は否めない。それでも充分面白いには違いないが。個人的には、ちょいちょい出てくる内田銀蔵博士がいい。馬鹿丁寧で、人柄に愛嬌がある。泣菫も、なんだか暖かい目で見ているような気がする。2016/09/24
tkm66
1
だいぶ若い頃に読んで再読、ですね。まだ神保町に富山房の販売部がビルのB1Fにかろうじて残っていて小売をしていた折の話。2022/08/03
慶多楼
0
たびたび出てくる内田銀蔵博士がいい。2009/10/10