出版社内容情報
副題=白雉・朱鳥より安土・桃山にいたる千年の歌から選りすぐった絶唱千首。現代最高の歌人が、勅選和歌集の体裁に倣って、比類ない詞華集一巻を編む。四季・恋・雑に居並ぶ和歌の精粋、至妙の配置、加えて核心に触れる鑑賞の文が、日本の詩情を高らかに謳い上げる。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内藤銀ねず
21
何度読んだか分からない、とても塚本邦雄らしい本。万葉集から安土桃山時代まで、名歌秀歌を1,000首集めるなんて、この人以外に誰がこんなことやれるものですか!っていう。ページ見開き右側に6首、左側に1首ずつの寸評。塚本酷愛の歌であってもなくても寸評の文字数制限が変わらないので、豊富な表現バリエーションで塚本の苦労がしのばれます。当時の現役最強歌人(比喩でない)が古典和歌を実作者の立場から縦横無尽に論じるだけでもセンセーショナルなのに、執念のような選歌眼できっちり1,000首は凄まじすぎ。2022/06/07
松本直哉
14
陰暦元旦にちなみ春の歌を再読 「石ばしる垂水の上のさ蕨の萌え出づる春になりにけるかも」(志貴皇子)「ひさかたの月夜を清み梅の花心開けてわが思へる君」(紀小鹿)「梅が香におどろかれつつ春の夜の闇こそ人はあくがらしけれ」(和泉式部)塚本邦雄の解説は高尚すぎてよくわからないところもあるけれど、万葉から安土桃山時代までをこんなにコンパクトにまとめてくれて助かる。2014/01/31
双海(ふたみ)
12
現代最高の歌人が、勅選和歌集の体裁に倣って、比類ない詞華集一巻を編む。四季・恋・雑に居並ぶ和歌の精粋、至妙の配置、加えて核心に触れる鑑賞の文が、日本の詩情を高らかに謳い上げる。本書にまさるアンソロジーはないと思わせる。2024/03/31
双海(ふたみ)
9
休日も退屈しない素晴らしい本です。大伯皇女「磯の上に生ふる馬酔木を…」、俊成女「面影のかすめる月ぞ…」、式子内親王「この世には忘れぬ春のおもかげよ…」。2017/12/30
かさねパパ
3
20年くらい前より、折にふれては読んでます。千首は詠みごたえがあります。どれも素晴らしい歌ばかりですが、傾向として塚本さんは、新古今集~特に良房、定家、そして、風雅集前後、伏見院、永福門院の時代を好んで取り入れているように感じます。技巧的でありながら、技巧を感じさせない、静かで、落ち着いた調べが多い印象です。読むと、とても心がすっきりして、今でも手放せない一冊です。ぜひ、みなさんも、手にとってみてください!