出版社内容情報
失われたアイデンティティーを模索していた敗戦直後の時代状況に適合し、著者の名を一躍高めた書物。山村の生活を観察記録風に叙しながら、都会文化が進展し生活様式に変化が生じても今なお原理的な、日本人の前論理的世界を澄明に活写している。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
21
とんでもないタイトルに惹かれて。都下某村の住民の生態を記述。そして最後にはこれが読者の中にもある行動様式なのだと警告している。2020/11/28
redbaron
16
開高健のエッセイで本書を知り、図書館にもなく、あまぞん屋にて古本購入。こんな題名、恰好だけ立派な今では無理かしら。で、「部落」の英雄たちのいろいろな行動を紹介している。が、あたしたちはこの英雄の行いを笑えない。「気違い」=自分たちを言われていると読んでいて気付くであろうし、「部落」=この国をあらわしているのにも気づくだろう。終戦後、このような本に驚くとともに、これほど痛快に読ませてもらえ、痛悔しなくて良かった。2016/12/27
魚京童!
16
みんなで気が違えば正常がビョーキなのだ2015/06/29
gtn
10
ファーブル「昆虫記」の翻訳者でもある著者が、戦中戦後、山中の一集落で村民を「昆虫」のように観察する。村民たちは、昆虫に負けないくらい本能に忠実だ。その村民に対峙できる著者のバイタリティーに、当方正直辟易する。2017/12/25
刳森伸一
8
タイトルは扇動的だが、内容は戦中戦後の小さな集落の人々の行動や風習を観察した民俗学的観察書。当時の人々の考え方や今も日本でみられる非論理的な行動、そしてそれらに関する作者の論考など興味深い記述は多い。全体的に良い本だと思うのだが、いささかペダンチック過ぎやしないだろうか。 2016/03/05