出版社内容情報
寒い夜こそ人の情けがあたたかい
駆け落ち相手を待つ女、生き別れた母を探す男……雪を背景に繰り広げられる時代アンソロジー
「太鼓橋雪景色」(諸田玲子)
来春に国許へと嫁ぐことが決まっているひわは、怪我をした老人を助けた縁から、いわくありげな若侍と知り合い、駆け落ちを企てる。
「雪ひとひら」(篠 綾子)
照月堂で菓子職人を目指すなつめは、雪を思わせる菓子を考えることに。そんな中、密かに思いを寄せる相手が、友人の婿になると聞いてしまい……。
「しずり雪」(安住洋子)
奢侈が取り締まられ、仕事がなくなった蒔絵職人の孝太は、何度も金を貸してやった幼馴染の作次から持ち込まれた、禁令に触れる仕事を受ける。
「雪の花道」(志川節子)
客の少ない冬場の余興として、新潟と長岡の遊女屋で“遊女合戦”を行うことに。長岡の「柏屋」でも練習に励む中、お照は酒蔵で働き始めた茂助の存在が気になり始め……。
「雪の橋」(梶よう子)
赤穂浪士による討ち入りに警戒する吉良邸のある夜、清水一学は夫婦約束を交わし、国許で待ってくれている幼馴染の美与に思いを馳せる。
「初雪」(藤原緋沙子)
甲州勝沼から江戸にぶどうを運んできた秀治は、幼い頃に行方を晦ました母親を探し回る。ようやく母親と出会えた秀治だったが……。
【目次】
内容説明
江戸の冬は寒いけれども、情けが沁みる―。雪が降りしきる中、駆け落ち相手の男を待ち続ける女(「太鼓橋雪景色」諸田玲子)、冬にふさわしい菓子を作ろうと苦心する、菓子職人を目指す娘(「雪ひとひら」篠綾子)、生き別れになった母を探すために、甲州勝沼から江戸を訪れた男(「初雪」藤原緋沙子)など、雪にまつわる江戸の悲喜こもごもを描いた作品を六編収録。人気時代作家の傑作揃いのアンソロジー。
著者等紹介
諸田玲子[モロタレイコ]
静岡市生まれ。上智大学文学部英文科卒業。1996年、『眩惑』でデビュー。2003年、『其の一日』で吉川英治文学新人賞、07年、『奸婦にあらず』で新田次郎文学賞、12年、『四十八人目の忠臣』で歴史時代作家クラブ賞作品賞、18年、『今ひとたびの、和泉式部』で親鸞賞を受賞
篠綾子[シノアヤコ]
埼玉県生まれ。『春の夜の夢のごとく 新平家公達草紙』で健友館文学賞を受賞し、デビュー。2017年、「更紗屋おりん雛形帖」シリーズで歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞、19年、『青山に在り』で日本歴史時代作家協会賞作品賞を受賞
安住洋子[アズミヨウコ]
兵庫県生まれ。大阪信愛学院短期大学卒業。1999年、「しずり雪」で長塚節文学賞短編小説部門大賞を受賞
志川節子[シガワセツコ]
1971年、島根県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2003年、「七転び」でオール讀物新人賞を受賞。13年、『春はそこまで 風待ち小路の人々』が直木賞候補となる
梶よう子[カジヨウコ]
東京都生まれ。2005年、「い草の花」で九州さが大衆文学賞、08年、「一朝の夢」で松本清張賞、16年、『ヨイ豊』で歴史時代作家クラブ賞作品賞、23年、『広重ぶるう』で新田次郎文学賞を受賞
藤原緋沙子[フジワラヒサコ]
1974年、高知県生まれ。立命館大学文学部卒業。2013年、「隅田川御用帳」シリーズで歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を受賞
細谷正充[ホソヤマサミツ]
文芸評論家。1963年生まれ。時代小説、ミステリーなどのエンターテインメントを対象に、評論・執筆に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。



