出版社内容情報
ベストセラー「書店ガール」シリーズの著者による、書店を舞台としたミステリー。
書店員の椎野正和は、ある朝届いた積荷の中に、少年犯罪者の告白本を見つけて驚く。それは十七年前に女子中学生が惨殺された事件で、正和の同級生が起こしたものだった。しかも正和は共犯と疑われたのだ。
書店業界が「売るべきか売らないべきか」と騒然とする中、その本を読んだ正和は、ある違和感を覚えるのだが……。
出版・書店業界の裏事情を巧みに盛り込んだ、慟哭のミステリー。『書店員と二つの罪』を改題。
内容説明
書店員の椎野正和は、ある朝届いた積荷の中に、少年犯罪者の告白本を見つけて驚く。それは十七年前に女子中学生が惨殺された事件で、正和の同級生が起こしたものだった。しかも正和は共犯と疑われたのだ。書店業界が「売るべきか売らないべきか」と騒然とする中、その本を読んだ正和は、ある違和感を覚えるのだが…。出版・書店業界の裏事情を巧みに盛り込んだ、慟哭のミステリー。『書店員と二つの罪』を改題。
著者等紹介
碧野圭[アオノケイ]
愛知県生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。フリーライター、出版社勤務を経て、2006年、『辞めない理由』で作家デビュー。2014年、『書店ガール3』で静岡書店大賞「映像化したい文庫部門」大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
34
十七年前に女子中学生が惨殺された事件で犯人の共犯を疑われたある少年犯罪者の告白本の出版。衝撃を受けたカリスマ書店員の椎野正和が違和感の謎を追うミステリ。無実が証明された後もいわれなき中傷を受けた彼の十七年経っても未だに忘れられない苦い過去。なぜ今になって出版されたのか。書店に並ぶヘイト本事情に対する複雑な思いも絡めながら、違和感の正体を追いかけるうちに辿り着いた真実は様々な意味でほろ苦かったですね…。ぶちまけて楽になるのではなくそれを一生背負いながら生きていく、突きつけられた贖罪の覚悟が印象に残りました。2024/05/09
Karl Heintz Schneider
33
30歳の椎野正和は書店の副店長。ある日、新刊本として少年犯罪者の告発本が送られてくる。実は正和はこの著者とは浅からぬ因縁があった。「書店員の二つの罪」の文庫化。やっぱり書店の話を書かせたら碧野さんの右に出る者はいない。展開が速く、歯切れのいい文章、読んでいて楽しかった。犯人による告発本を世に出すのは書店としてどうなのか。被害者家族への配慮は?一方、ネット販売、電子書籍全盛のこの時代に会社の方針として売れそうな本は売らねばならない。書店の裏バナシあり、ミステリー要素もあって読み応え十分、大満足の一冊だった。2024/07/30
mayu
25
十七年前に起きた女子中学生惨殺事件は犯人が中学生であり更に猟奇的な事件だった。今は忘れられている事件が犯人の告白本と共にまた注目を浴びる。主人公の職業が書店員ということもあり、売りたくない本と売れる本との葛藤など書店事情もリアルに描かれていた。犯人と幼馴染で仲良くしていた昔の記憶と、さまざまな違和感が真実に近づいていくにつれて辛さも重く重なっていく。真実を告白する事が関係している人達を楽する訳ではない。重く切ない真実に身動きが取れなくなる様な感覚を感じる一冊だった。2024/05/13
NAOAMI
13
17年前に起きた悲惨な事件。主人公の幼なじみが同級生女子を殺害し遺体を禍々しく損壊。一時は共犯者の疑いもかけられ、記憶に蓋をするように生きてきた半生の正和。そんな折、消息不明だった犯人が告白本を出版した。そこから錆びついていた歯車が再び軋み始める。主人公が無意識に目を背けていた記憶が詳らかになる終盤は何か元も子もないというか。余りにも意図的な隠蔽のような気もして。展開自体がペテンのような気もした。書棚の番人というタイトルが生かされておらず、もっと書店がらみオチも期待したが不発。人間ドラマとして読み応え有。2025/01/10
☆Ruy
8
書店員さんが主人公。書店の裏側と書店員さんの仕事を絡めながらのミステリー。登場人物みんな少し病みぎみ。その中で主人公はずっと自分だけ辛さから逃げて都合の悪い記憶は忘れてた。それなのに正論振りかざすのにちょっと閉口。 本が売れるのは、書店員さんの努力もあるんだなぁ。POPだったり、SNSでの発信だったり。 少しでも誰かに刺さる作品は、ベストセラーにはならなくてもロングセラーにはなるのかも。息の長い作品はそれだけで尊い文学遺産だと思う。 2025/04/12