出版社内容情報
万造が嫁姑問題を解決? 鉄斎が剣客に真剣勝負を挑まれる!? 江戸の四季を背景に、笑って泣ける人情話が詰まった大人気シリーズ最新巻!
内容説明
江戸は本所亀沢町の「おけら長屋」に住む浪人・鉄斎のもとへ、一人の若き武芸者が訪れ、真剣での立ち合いを求めてきた。いったい何のために勝負を挑んできたのか。そして、鉄斎の過去を知った長屋の面々は…「ふゆどり」。勤め先の店で、険悪な関係の嫁と姑に振り回される万造。ある日、色白の優男が店にやってきたことをきっかけに、嫁姑の争いは激しさを増していき…「あきなす」など、傑作四篇を収録。文庫書き下ろし。
著者等紹介
畠山健二[ハタケヤマケンジ]
1957年、東京都目黒区生まれ。墨田区本所育ち。演芸の台本執筆や演出、週刊誌のコラム連載、ものかき塾での講師まで精力的に活動する。2012年、『スプラッシュマンション』(PHP研究所)で小説家デビュー。文庫書き下ろし時代小説『本所おけら長屋』(PHP文芸文庫)が好評を博し、人気シリーズとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
206
読友さんが数人が「名人芸」と褒めているが、正にその通りの円熟味を感じる15巻…タイトルに春夏秋冬を冠して、心地好い泣き笑いを盛り込んだ4編は夢中で読めた。特に久々の清八郎が登場する『はるこい』の続編『はるざれ』は沁みる人情&恋話になっていて、その結末も清々しくて大満足。『あきなす』の嫁姑話は金太の活躍?もあって、名作落語のようだし、鉄斎の過去が絡んだ『ふゆどり』は見事な展開と余韻のある結びに拍手!巻を追う毎に登場人物と作品が成長していて、自分も長屋仲間になったみたいで、もっと多くの人に知って貰いたくなる。2020/12/25
初美マリン
155
だんだんおけら長屋らしくなくなって普通の時代劇のようになってしまったと感じていましたが。最後の章は、大好きな島田さんが主人公で、人は哀しみ苦しみがあって今を作ると。そうであると信じたい。敵対する人が単に憎しみを持った人でなくて良かった。各章のタイトルが粋ですね。2020/09/28
やま
144
本所おけら長屋15作目 2020.10発行。字の大きさは…中。 はるざれ、なつぜみ、あきなす、ふゆどりの短編4話。 🌿本所亀沢町のおけら長屋の住人が、おりなす泣けて笑えてしんみりする人情物語です。🌿 此度は、笑える話より、しんみりする話が多かったです。🌿その中でも「なつぜみ」は、しんみりした中に、巧みに笑いを入れています。このため音読していて、つい力が入って膝を叩きすぎて、膝が痛くなりました(笑)。新年の大笑いができて楽しかったです。🌿 次巻が楽しみです。2021/01/03
のり
121
江戸の問題が「おけら長屋」に全て集まって来るような慌ただしい日々。黒石藩の実情・忘れられない想い人・嫁姑問題・「鉄斎」の過去から現在までの悔恨。どんな難題も粋に解決。出番は少ないが「金太」の存在感がハンパない。噛み合わないのが笑いの質を高める。それと「はるざれ」食べたい。2020/11/12
タイ子
112
久しぶりでもおけら長屋の住人が居るべきところに居てくれると(三祐)「いたーーっ!」って嬉しい限り。各章のタイトルがしっくり胸に響きます。三祐で万松が徳利のやりとりをするシーンは鉄斎ならずとも「さすが!」。「なつぜみ」を読んでいると池波正太郎さんの時代小説を思い出す。鉄斎さんもすっかりおけら長屋の住人に染まってることが今回よぉ~く分かりました。涙がほろり、笑いがはじけ、また元気をもらいました。それにしてもお葉の作った味噌漬けが食べてみたい。秋ナスの美味しい季節です。こちらでは夏秋ナスですが・・・。2020/10/01