出版社内容情報
ローマ帝国1500年の歩みを描いた名著を一冊にまとめたダイジェスト版。希代の歴史家が綴る文明盛衰の物語をわかりやすい新訳で読む。
内容説明
1776年に発売されるや、たちまち希代の名著としての地位を確立したギボンの『ローマ帝国衰亡史』。本書は、大著の原書の中から各時代の代表的な章を選び、翻訳して一冊にまとめたものである。国家の衰亡、文明の衰退は必然なのかという人類永遠のテーマを考えるうえでの必読書であり、人生の指針ともなり得る。多くの知識人をも魅了した歴史的傑作の新訳ロングセラー、待望の文庫化!
目次
初代皇帝アウグストゥスがあたえた指針
ブリタニアの征服
トラヤヌス帝による版図拡大
内政を充実させた後継者たち
帝威を支えた兵制と軍事力
帝国の属州
寛容な宗教政策
実利的なローマ人
ラテン語の普及とギリシア文化の遺産
ローマ帝国における奴隷たち〔ほか〕
著者等紹介
中倉玄喜[ナカクラゲンキ]
1948年、長崎県平戸市生まれ。高知大学文理学部化学科卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mayumi
22
1776年に発売されたギボンの名著。本作は各時代の代表的な章を選び、翻訳して一冊にまとめたもの。結構なボリュームです。私はローマ史だとスキピオが好きなんだけれど、この作品はローマ帝国がメインなので、それ以前のスキピオはもちろんのこと、カエサルも出てこない。衰亡史なので、五賢帝はサラッとしか描かれず、滅亡に向かっていく帝国が描かれている。ユリアヌスのような善き皇帝はすぐに亡くなってしまい、あとは内戦、しまいにはキリスト教VSイスラム教という形で幕引き。やはり最後は寂しさを感じる。2022/12/09
takehiro
14
諸行無常・・。ローマの歴史では五賢帝の時代に特に興味があります。真に優れた為政者が国をリードしていた時の一般人の生活ってどうだったんでしょうね。日本にもこのような優れた為政者が現れてほしいと思わずにはいられません。2023/05/16
波 環
9
抄訳ながら通史として概観するのにちょうど良い。塩野七生の『ローマ人の物語』を読んで忘れたころにこちらを読むと、ああそれそれとなって良いかも。原著がかかれたころのイギリスで、キリスト教に辛くあたった書き方だと非難を受けたらしいが、私にはキリスト教には甘々で、イスラム教にキツい書き方だと読んでいた。ローマの法令がヨーロッパ各国の法律の下書きになってるとして、ドイツの憲法で明治憲法を、プロテスタント・アメリカの影響下に現在の憲法を作った今の日本ももしかしたらローマ帝国の亜種なのかもしれないないですね。2025/03/02
Akiro OUED
5
ローマ帝国興亡史じゃなくて衰亡史だった。ローマ帝国を危機に陥れた無能な皇帝が次々に登場する。だが、多くのバカ殿様を輩出しながらも、東ローマ帝国は千年持ちこたえた。愚帝の多くは賢帝の血縁者だった。政治を家業とする世襲議員天国日本の将来を暗示する。ま、滅亡まで千年も要らないが。2023/12/30
Ohe Hiroyuki
4
和訳で10冊ほどになるシリーズを、ぎゅっと1冊にまとめた1冊である。これでも長いが、原著を考えると相当手に取りやすくなった一冊である▼本書は、ローマ帝国の成り立ちというよりは、実際的な運用が中心となる。取り扱われるのも五賢帝のあたりからとなる。▼本書でも述べられているが、ローマ帝国はよくも1500年近くも続いたなと思うところである。その様相は初期と末期では大きく異なるが、同じくローマ帝国と名乗っていたのは改めて驚嘆する。▼ヨーロッパやイスラームを理解するにはローマ帝国の理解は必須であると思った。2024/12/27