出版社内容情報
かつて猫が大陸から船で海を渡って日本にやってきたのは、ネズミから仏教の経典などを守るためだった。その後猫は、日本人の穀物や蚕を守り、「猫絵」や「狛猫」が生まれるなど信仰の対象にもなる一方、人々の心も守ってきたと言える。さらに猫は、がん遺伝子の研究にも大きな貢献を果たしている。
本書では猫のルーツや生態、歴史を解説し、どのように猫に「恩返し」をしていくかを考える。
(第2章より)私は以前、犬も飼っていました。シェットランド・シープドッグのマミちゃんです。
犬のすばらしい長所の一つは、こちらの言葉や声、しぐさに素直に反応してくれることです。たとえば私が嘘泣きをしてみても、ちゃんと慰めてくれます。痛くもないのに「痛い、痛い」と言ってうずくまってみても、心配して飛んで来てくれるのです。実にありがたいものです。ただ、演技であることに気づいていないのか、それとも気づいたうえで付き合ってくれているのか、そのあたりはわかりません。
ところが、猫は違います。試しに、「痛い、痛い」と言いながらうずくまってみても、(飼い猫の)塩八はまったく反応しません。けれども、本当に痛くて苦しんでいるときは、様子を見に来る。これはとても不思議です。
もちろん、猫が人の心を見抜いているなどと簡単に断言するつもりはありません。しかし、言葉や声だけではなく、むしろ、空気の張りつめ方、呼吸の乱れ、身体の動きの重さ、いつもと違う沈黙の質、そういった状態の変化を、何かしら感じ取っているように思えるのです。
犬が言葉に強い動物だとすれば、猫は気配に強い動物なのではないか。私はそんな気がしています。
【目次】
内容説明
かつて猫が大陸から船で海を渡って日本にやってきたのは、ネズミから仏教の経典などを守るためだった。その後猫は日本人の穀物や蚕を守り、「猫絵」や「狛猫」が生まれるなど信仰の対象にもなる一方、人々の心も守ってきたと言える。さらに猫はがん遺伝子の発見にも大きな貢献を果たしている。本書では猫のルーツや生態、歴史を解説し、どのように猫に「恩返し」をしていくかを考える。
目次
第1章 猫という驚異―しなやかな身体と鋭い感覚の謎
第2章 猫はそっと人のそばにいる
第3章 猫はどうやって人類の隣人になったのか
第4章 猫は医学を進めてきた
第5章 猫への恩返し
第6章 京都から始まる猫の未来
著者等紹介
宮沢孝幸[ミヤザワタカユキ]
一般社団法人 京都生命科学研究所代表理事。1964年生まれ。東京大学農学部畜産獣医学科にて獣医師免許を取得。同大学院で動物由来ウイルスを研究。東大初の飛び級で博士号を取得。帯広畜産大学畜産学部獣医学科助教授、京都大学医生物学研究所准教授などを経て、2024年5月京都大学を退職。日本獣医学会賞、ヤンソン賞を受賞。新型コロナウイルス感染症の蔓延に対し、「1/100作戦」を提唱して注目を得る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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