出版社内容情報
『生きがいの見つけ方』は、「自由意志は幻想であるかもしれない」という脳科学の視点を出発点に、人はそれでもどうすれば生きがいを感じながら生きられるのかを考える一冊です。著者は、私たちの行動や選択が環境や脳の状態に強く影響されているとしながらも、そこに悲観するのではなく、むしろ「行動」こそが生きがいを生む鍵であると語ります。
本書で特に印象的なのは、「やる気があるから行動するのではなく、やる気がなくてもまず行動することが大切だ」という提案です。たとえば、朝なんとなくランニングに出たとき、走っている最中に目の前を一匹の蝶がふわりと舞う。それを見て「生きている」という実感がふいに湧き上がる。そうした一瞬が、生きがいの原点なのだと茂木は述べます。大きな目標や崇高な目的がなくても、小さな行動の中にこそ生きている瞬間が宿るのです。
行動主義的なアプローチを通じて、著者は「習慣が人格をつくる」とも語ります。毎日少しでも何かをやり続けること。それがやがて意味や価値を生み、生きがいへとつながっていく。本書は、やる気や自由意志に頼らずとも、日々の行動の中で人生の意味を見出すことができるという力強いメッセージを届けてくれます。どこか虚しさを感じている人にこそ読んでほしい、生きる手応えを取り戻すための一冊です。
【目次】
内容説明
生きがいとは、脳が感じる「今ここ」の奇跡。「やりたいことがわからない」「生きている実感がない」―そんな悩みに、脳科学が答えをくれる。私たちの行動は無意識に導かれ、脳は結果を後から「選んだ」と錯覚する。それでも、行動し、感動し、宇宙の中の自分を感じるとき、生きる手ごたえは生まれる。行動主義の先に見える、生きがいの地平。脳科学者が、脳と心の研究の最前線から導く、生き方のヒント。
目次
序章 生きがいとは何か
第1章 偶然と必然(自由意志はあるのか;偶然とは何か)
第2章 意識と無意識(無意識の耕し方;行動が感情をつくる)
第3章 自分と他人(人とつながる脳の働き;スマホ依存の脳科学)
第4章 人工知能と生命(人工知能と言語のパラドクス;究極の質問と理解できない答え)
第5章 境界はあるのか(「私」が「私」である謎;人生と記憶)
著者等紹介
茂木健一郎[モギケンイチロウ]
東京大学大学院客員教授及び特任教授、ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現在に至る。専門は脳科学、認知科学。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究、併せて近年は「人とAIのアラインメント」についての研究に注力中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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