出版社内容情報
飾り職人の夫・新吉が帰ってこない――。不安に駆られたおいちだったが、新吉は朝になって、何事もなかったかのように家に戻ってきた。
しかし、新吉が言付けを頼んだ職人らしき人物が、菖蒲長屋近くで殺されていたことが判明する。しかもその懐には、きれいなビードロの風鈴がしのばせてあった。
おいちは、身重であることも忘れ、岡っ引の仙五朗とともに、事件の解明に乗り出す。
そんな折、おいちは石渡塾で共に学ぶ和江が、血飛沫を浴びたかのように紅く染まった幻を見てしまう。これは何かの予兆なのか。おいちは忍び寄る禍々しい気配に身をすくませる。
シリーズ累計46万部突破! 仕事も家庭も大事にしたい娘の奮闘と成長を描いた青春「時代」ミステリー第七弾!
内容説明
第7弾、誕生篇。結婚し、子を授かったおいちの奮闘と成長を描く青春「時代」ミステリー最新刊。殺された男の懐から風鈴が…。涼やかな音色に、なぜか背筋が震えたおいちは。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年、岡山県生まれ。青山学院大学文学部卒業。小学校の臨時教師を経て、作家デビュー。『バッテリー』で野間児童文芸賞、『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、『バッテリー1~4』で小学館児童出版文化賞、『たまゆら』で島清恋愛文学賞、時代ものの三つのシリーズで、日本歴史時代作家協会賞シリーズ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
131
おいち、おめでとう。シリーズ第7弾は誕生篇とある。久しぶりの本作、父・松庵と伯母・おうたの掛け合いで、そうそうこの感じと、物語の世界へ入っていった。おいちの夫・新吉が拵えたメスで事件が起きたのか・・石渡塾の塾生・和江とその父・漢方医堂安の親子が絡むのか・・今回もおいちは視えてしまう。身重の自分をつい忘れてしまいそうになるおいちを支える皆が優しい。忙しい日々を送りつつ妻として、母として更に医師を目指すおいちに頑張れと言いたい。仙五朗親分が相変わらず好い(そこ?)次回はおっかさん頑張るの巻かな。2025/07/11
がらくたどん
48
書影は帯で隠れてるが、オープニングから「腹帯」祝いの大騒ぎ。そう、あの少女だったおいちちゃんに出産の時が迫る♪臨月でも患者は途絶えず、剣呑な事件も起きる。愛する夫・飾り職人新吉の仕事仲間が喉をかき切られて殺された!しかも凶器は新吉がおいちの父のために試作を繰り返していた手術用のメスに酷似した刃物らしい。血飛沫の幻視・風鈴の幻聴。おいちの勘働きでもいまひとつ掴み切れない真に危険が迫っている誰かの姿。今回は「不思議」は控え目だが、ミステリー度は高くなかなか事件の「絵」が見えてこない。最後はいろいろホッとした♪2025/07/15
みい坊
39
おいちに家族が出来て今回はお母さんに。身重の身でも人のために奔走するおいち。ハラハラしながらおいちを見守る人も愛情深い。松庵先生とおうた伯母さんの掛け合いも益々冴えていた。時々、お腹からエールを送ってくるおいちの子供。おいちのように能力を持ってくるのかな。家族が増えて守る事が増えたおいち。困難を乗り越えて医学を学ぶおいちを応援したい。仙五朗親分は相変わらず格好良いなぁ。親分の登場で物語がグッと引き締まるのを楽しんだ。2025/07/12
hirokun
33
★3 おいちシリーズ第三弾との事。このシリーズも随分楽しませてもらった。捕り物人情時代小説だが、今回の作品はストーリーに意外性がなく淡々と終わってしまった感じ。あさのあつこさんの作品を読んだあとのほんのり温かい気持ちが残るものの些か期待外れ。2025/07/04
anne@灯れ松明の火
23
シリーズ7。新着チェックで予約。大きなお腹を抱えながらも、父・松庵の手伝い等々を頑張っているおいち。母替りの伯母おうた、兄十斗、夫の新吉、学友美代たち、そして、仙五朗親分など、いい人に囲まれている。そんな中、おいちが見る不吉な幻。殺人事件、学友の問題、今までのように身軽に動いてはいけないおいち、どうする? やっぱりこのシリーズは面白くて、途中で止められない。次はいよいよ子育てが始まる。今から続編が待ち遠しい。ところで、松庵・おうたの掛け合いは愉快だけれど、ちょっと多すぎるんでは?(苦笑)2025/07/26