出版社内容情報
「すべての責めは私が負う。覚悟はできている」――
財産税導入、預金封鎖、新円切替……日本を救うこの決断は、この男にしかできなかった。
『天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債』の著者が描く、傑作歴史小説!
◇あらすじ
渋沢栄一の孫にして、日本銀行総裁、そして大蔵大臣を務めた渋沢敬三。彼はなぜ、第二次世界大戦後、預金封鎖や新円切替などの苛烈な経済対策に踏み切れたのか?
生物学者をめざす心優しい少年が、その人柄ゆえに経済界の要職に抜擢され、日本の財政の行方を左右する究極の決断を迫られるようになるまでの数奇な生涯を、大胆な視点で描いた長編小説。
内容説明
渋沢栄一の孫にして、日本銀行総裁、そして大蔵大臣を務めた渋沢敬三。彼はなぜ、第二次世界大戦後、預金封鎖や新円切替などの苛烈な経済対策に踏み切れたのか?生物学者をめざす心優しい少年が、その人柄ゆえに経済界の要職に抜擢され、日本の財政の行方を左右する究極の決断を迫られるようになるまでの数奇な生涯を、大胆な視点で描いた傑作長編小説。
著者等紹介
幸田真音[コウダマイン]
1951年生まれ。米国系投資銀行等で債券ディーラー、外国債券セールスなどを経て、1995年『小説ヘッジファンド』で作家デビュー。2014年『天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債』で第33回新田次郎文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
109
主人公は渋沢敬三。日銀総裁・大蔵大臣として、戦中・戦後の日本経済の舵取り役を担った人生である。軍備増強にひた走る日本の財政状況や戦後の経済の混乱などがよくわかる。だからこそ、敬三が主導した財産税・預金封鎖・新円切替が、正に「万、已むを得ず」の劇薬であった状況が理解できる。ただ、私たちが渋沢敬三に興味を持つのは、政財界の第一線の人物でありながら、一流の民俗学者だったという二刀流の人生にある。本書は、柳田國男との出会いを含め後者の部分に殆ど触れておらず、敬三の全貌を描くには片手落ちではないかとの不満が残る。2024/08/30
PEN-F
42
あの渋沢栄一の孫にして、第一銀行副頭取、日銀総裁、財務大臣を歴任した渋沢敬三氏。戦後の国難時において、まさに痛みを伴う改革を断行した精神力は特筆に値する。多くの国民からは恨まれたことだろう。それでもあの当時、軍事債権を湧水の如く乱発し、もやは国家として成立しかねない程の債務を背負い、残された道はそう多くはなかったのだろう。国民にも多大な犠牲を背負わせてしまったが、今の政治家と違うのは渋沢敬三氏自らも全ての資産を投げうった点がすごいと思う。国民に負担を強いておいて自分は無傷という政治家とは一線を画していた。2024/09/20
hirokun
36
★3 幸田真音さんの作品を読むのは久しぶり。今回の作品は、渋沢栄一の孫である敬三を主人公にした歴史経済小説。私は渋沢敬三についてはほとんど知識がなく、戦後直後の財産税導入、預金封鎖、新円切替も知識としてはあったが、その背景、導入の経緯・方法について理解することが、今後の政府債務の拡大によるハイパーインフレ発生時の一つの解決方法としての理解が深まった。2024/09/06
星落秋風五丈原
24
大河ドラマ「青天を衝け」にも出てきた渋沢家孫敬三の話。大変な時に大蔵大臣までやったんですね。2024/08/06
一笑
19
渋沢栄一やその息子ではなく、孫の敬三が主人公。祖父栄一に懇願され図らずも銀行員の道に入る。が、日本は戦争を起こして、そして負けてしまった。敬三は戦後経済立て直しを期待され、日銀総裁や大蔵大臣に担ぎ出される。戦争を描いた作品は数あれど、金融というか財政面から描いた作品は少ないのではなかろうか。財政面から見ても戦争はめちゃくちゃなことがよくる。祖父栄一も凄かったけれど、孫の敬三も栄一に負けないくらいすごかった。池田勇人や福田赳夫・愛知揆一、政界で活躍する人達がみんな大蔵省出身でちょっとびっくり。面白かった。2025/01/09