出版社内容情報
「何もしないほうが得」な社会から、「何もしないほうが損」な、アクティブな社会、組織へ! 挑戦を促す仕組みを作る処方箋。
内容説明
日本の社会システムにおける構造的欠陥を問う。
目次
まえがき―合理的な選択としての「何もしない」
第1章 日本社会で起きている「保身のリアル」
第2章 組織における「挑戦と保身」のコスパ
第3章 挑戦の足を引っぱる「人間関係」
第4章 「消極的利己主義」はなえまん延したか?
第5章 「するほうが得」な仕組みへ
あとがき―「何もしないほうが得」を超えて
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
69
以前からの国際競争力の低下や活力の減少などに加え、コロナ禍での経済の縮小、地域の祭りなどの中止も相次ぎ、衰退する日本が現実のものになりつつある。本書は今も尚手をこまねいている人々が多数を占める社会の構造にメスを入れ、「するほうが得」な仕組みについて考えていく。会社や組織の性向分析は納得するも、戦後社会の歴史的な枠組みについての提示も必要ではないか。恐らく決定的な解決策はないだろう。「何もしないほうが得」な社会は遠からず消滅するとの認識を持ち、一人一人が何ができるのか考え、実践していくことがまずは第一歩か。2022/11/22
ニッポニア
58
同調圧力の国で、どう足掻くのか。以下メモ。何も欲しがらない若者が消費を冷え込ませ、主体的な学びが看板の教育で、学生は受験に関係ないことに無関心。個人への責任追求が萎縮を招き、公務員はやる気を失っていく。義務に対する権利、怠慢に対する監視、相互不振に基づく悪意の入り混じった関係に移行し、行き着く先は官僚主義。笛吹かれても、踊りたくない。得意を明かすと余計な仕事が回ってくる。入試対策としての自発的な活動、という空虚な時代へ。記事のままの人間的要求が手綱から解き放たれた奔馬のように、野放図に頭をもたげてくる。2024/08/16
ひこうき雲
57
組織の中で、新しいことやりたいと言い出しても「じゃあお前がやれ!」って言われるだけだしね。今でも十分忙しいし、皆を動かすのもパワーがいるし。でも、組織にいれば何かあれば守ってくれるし、そこから出ていくのは、あまりにもリスクが高すぎる。つまり「何もしない方が得」ということ。あらためて言わなくても、皆分かってると思うけど。2023/02/24
HMax
47
「失敗を恐れず、大いにチャレンジしてください」予算の時期になると必ず出る言葉。予算を立てたら必ずチャレンジと言って上積みして差し戻しされる。チャレンジして失敗したら減点、成功しても大したこともなし、目標管理でも同じ。だからフルスロットルは禁物。うちの会社だけではないと知って安心。って安心してる場合ではない。子供の時代もこんな状態だと失われた50年になってしまう。なぜこんなことになってしまったのか?組織や社会が存続し繫栄するための意志を欠いていたから、ということは私にも責任がある。私の代で食い止めよう。2024/07/11
レモン
43
なぜ学校で生徒たちは誰も手を挙げないのか、なぜ失敗を恐れず挑戦する人が少ないのか。やる気のない人が増えたからではなく、日本の構造上の問題と著者は指摘する。解決策としては、面倒がらずに小さな声からでも少しずつ変えていこうと行動することに尽きるのだろうか。ゴールまで遠すぎてモチベーション維持が困難と思ってしまう。私自身、やった方が結果として自分にプラスになると気づいたのはごく最近。それでも周りの空気を読んでからでしか手を挙げられない。染みついたマインドは容易には変えられない。2024/06/21