出版社内容情報
聖画に神は宿るのか――。西洋美術作品はもともと「読む聖書」として普及された。その後、偶像崇拝が禁止される歴史がある一方で、美術作品として広く鑑賞されるものに変わった面もある。作品を理解することは信仰や祈りに通じるだろうか。美術と宗教のあいだにある本質を歴史と信仰から探究する対談。49作品をカラー掲載。
宗教は信仰する人にとって絶対的なものであり、美術よりも強力だといえるが、言葉によらない美術は個々の宗教を超えた普遍性を持っており、より広く開かれている。美術は誰にでも親しめるものだが、それを支えているのが宗教である。(はじめに 宮下規久朗)より
イコンそのものを崇拝する、聖書のテキスト、あるいはそこから派生した理論的に精緻な神学を崇拝することは、キリスト教が厳しく禁じる偶像崇拝だ。美術や神学を通して、その背後に確実に存在する神を想うことが、キリスト教的に正しいアプローチなのだ。(おわりに 佐藤優)より
内容説明
「目に見えないもの」と「言葉にできないもの」キリスト教理解で分かる教養としての西洋美術。カラー49作品を掲載。
目次
序章 なぜ、いまルネサンスなのか
第1章 「目に見えないもの」を見る
第2章 土着化したマリア信仰
第3章 破壊されるイコン
第4章 キリスト教絵画の見方、考え方
第5章 美術鑑賞は宗教行為である
著者等紹介
宮下規久朗[ミヤシタキクロウ]
美術史家。神戸大学大学院人文学研究科教授。1963年、愛知県生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院修了。兵庫県立近代美術館、東京都現代美術館学芸員、神戸大学文学部助教授を経て、現職。イタリアの画家カラヴァッジョを中心に、16世紀のカトリック改革期から17世紀のバロックにいたるイタリア美術を研究。また、美術における宗教や権力、死や性といった観点から、広く古今東西の美術史を考察している。著書に『カラヴァッジョ―聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会、サントリー学芸賞受賞)など多数
佐藤優[サトウマサル]
作家。元外務省主任分析官。1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在英日本国大使館、在ロシア連邦日本国大使館に勤務した後、本省国際情報局分析第一課において、主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍。2002年、背任と偽計業務妨害容疑で東京地検特捜部に逮捕され、2005年に執行猶予付き有罪判決を受ける。2009年に最高裁で有罪が確定し、外務省を失職。2013年に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。2005年に発表した『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。2006年に『自壊する帝国』(新潮社)で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞、2020年に菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
trazom
あーびん
gtn
umeko