出版社内容情報
満洲事変とは何だったのか。事変に先立つ一九二〇年代を民族自決の理念が登場した時代とするなら、当時の中国は、満洲族やモンゴル族、ウイグル族などの民族自決を明らかに否定していた。満洲事変から支那事変を経て大東亜戦争に至る日本近代史について、帝国主義と民族主義の対立を絶対化する革命思想からではなく、長期的な歴史的文脈の中で、かつ、様々な制約下の行動の中にも新たな理念の影響を読み取る多面的、複合的な視点から再評価すべきである。「侵略」論を超えて世界的視野から当時の状況を知り、歴史認識の客観性を求める新たな試み。日米中や西欧諸国、ロシアという大国のみならず、満洲やモンゴル、東トルキスタン(新疆)やチベット、東南アジアなど周辺地域の研究成果を取り入れることは「日本を加害者、中国を被害者とする定型的な、あるいは結果から過程を演繹するような歴史を克服することにもつながるであろう」(本書「はじめに」より)。
内容説明
満洲事変とは何だったのか。事変に先立つ一九二〇年代を民族自決の理念が登場した時代とするなら、この時代の中国は、満洲族やモンゴル族、ウイグル族などの民族自決を否定していた。満洲事変から支那事変を経て大東亜戦争に至る日本近代史について、われわれは帝国主義と民族主義の対立を絶対化する革命思想からではなく、長期的な歴史的文脈の中で、かつ、様々な制約下の行動の中にも新たな理念の影響を読み取る多面的、複合的な視点から再評価すべきである。「侵略」論を超えて世界的視野から当時の状況を知り、歴史認識の客観性を求める試み。
目次
第1章 清朝の近代化とその変容(清朝の近代化への視点;漢族特有の利害集団を利用した清朝 ほか)
第2章 近代日本の形成と日清・日露戦争(近代日本形成の前提;江戸時代の合議 ほか)
第3章 辛亥革命、第一次世界大戦と東アジア(日露戦争後の日本の内政と外交;工場法の制定と関税自主権の回復 ほか)
第4章 一九二〇年代の国際理念と東アジア情勢(民族主義をめぐる国際対立;第一次世界大戦後のアメリカ ほか)
第5章 満洲事変(国民政府による治外法権撤廃交渉の開始;内乱の再発 ほか)
著者等紹介
宮田昌明[ミヤタマサアキ]
1971年、石川県生まれ。94年、京都大学文学部史学科卒業。99年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。京都大学博士(文学)。現在、一燈園資料館「香倉院」(財団法人懴悔奉仕光泉林付属)勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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