PHP新書<br> 「都市の正義」が地方を壊す―地方創生の隘路を抜けて

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PHP新書
「都市の正義」が地方を壊す―地方創生の隘路を抜けて

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  • サイズ 新書判/ページ数 320p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784569840888
  • NDC分類 601.1
  • Cコード C0233

出版社内容情報

地方の衰退は、カネや仕事不足の問題ではない。「都市の正義」の産物である「地方創生」の現状を検証、地方の本来の価値を見直す。

山下 祐介[ヤマシタ ユウスケ]
著・文・その他

内容説明

地方を救うため、まず最初に行なうべきは、地方に仕事をつくること。「地方創生」はこの方針を掲げさまざまな取り組みを行っているが、地方にはすでに仕事がある。しかもそれは第一次産業や建設業など、日本人の日々の暮らしに必要不可欠のものだ。問題はそうした仕事の「職業威信」が低いことである。田舎の仕事は威信が低く、都会の仕事は威信が高い。そうした価値観は、いかにして醸成されてきたのか。さらに「選択と集中」「競争と淘汰」など、止むを得ないと見なされる「都市の正義」がはらむ罠を、地域社会学者が鋭く指摘する。

目次

第1章 検証・「地方創生」(日本創成会議の「地方消滅」論;政府の「地方創生」論)
第2章 都市化がもたらす人口減少(人口減少社会の正体;大都市圏の暮らしと地方の仕事―東京一極集中の正体 ほか)
第3章 東京から見た地方創生(「東京だけが頑張っている」という誤解;地方創生を首都圏から考える ほか)
第4章 都市の正義が地方を壊す(「地方消滅」から四年の経験;都市の正義から、多様なものの共生へ ほか)
第5章 人口減少を克服するための地方創生とは(みなで負担し、みなで享受する制度―社会の回復;地方創生の問題解決サイクルを検証する ほか)

著者等紹介

山下祐介[ヤマシタユウスケ]
首都大学東京都市社会学部准教授。1969年生まれ。九州大学大学院文学研究科博士課程中退。弘前大学准教授などを経て現職。専攻は都市社会学、地域社会学、農村社会学、環境社会学。東北の地方都市と農山漁村の研究を行い、津軽学・白神学にも参加(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たばかる

27
都市の正義を、一定の人口を高密度に保つ場所を望ましいとする思考法だと定義し、昨今の地方創生戦略に含まれる経済優先の傾向を批判する。筆者によれば経済の優先がすなわち人口増に結びつかない。行政や市場に依存するような都市への人口の集中は、結果的に人相互の連帯を崩すことになる。それゆえいわゆる農村よりも都市が国を支えるというような考えは誤謬であり、我々は本来農村と都市が人口や生産などの面で相互依存の関係にあることを忘却していると主張する。2021/04/19

蜻蛉切

24
ネットなどで散見する地方(田舎)への都市からの眼差しには、苛立ちを覚えることが多い(田舎在住)ので、手にとってみた一冊。 「田舎」では、二言目には「仕事がないものね」が合言葉の様に飛び交うし、自分も問題はそこだよなと思っていたが、どうも、問題はそう単純ではないということらしい。 具体策の評価はサテオキ、本書で著者によって提起された、視点は参考になったような気がする。 確かに、いくら企業が進出しても、儲けは中央に持っていかれたのでは意味がないという点は、成程と思えた。2019/01/24

makoto018

9
「東京で稼いだ金を地方に融通している構造はおかしい」というのが、東京から見た「都市の正義」だと著者は言う。そう話す人間は視野狭窄に陥っていると。都市(東京)だけで、生産から消費まで自己完結することはできない。第一次、第二次産業など、農林水産業やや生産工場を担う地方都市があってこそ、都市が成り立っていて、しかし、できあがった製品やサービスの収益は、本社機能が集中する東京に集まるからという論理。人口増加など日本が再び上向くためには、集中ではなく、分散による、地方と都市の両立による多様性という論には 一理ある。2021/01/08

まゆまゆ

9
都市部への人口集中と地方の人口減。これを東京基準でした考えることこそ人口減少の原因であり、東京一極集中の正体だとする内容。都市部は家族や地域の共同体概念が消失し、行政依存と市場化が進んだ。これが地方にも影響し、自立を拒み依存が蔓延る。新自由主義と呼ばれる経済最優先の考え方では人口は増えようがない。しかし国民的価値観として浸透してしまった今、これを覆すほどの大胆な政策を出せるのはすごい政治リーダーでないとたぶん無理。価値観が変わらないと人口減少は止まらないのはそのとおりだと思うけど。2018/08/07

bapaksejahtera

8
本書のテーマは2,30年は十分に食える。冒頭生産活動のない都市が政治的行政的に職業威信を独占し誤った財政優位を構成すること、人民が行政依存を不当に高めている等頷ける記述から始まった。しかし行財政改革や経済政策は小泉政権以来民意の下実行された。以降民主党を含め連綿と続いている。一票の格差の是正をアプリオリに是とする論調と地方自治との矛盾等法体系の問題には全く触れない。結局安倍政権を非難する詰まらぬ提言で本書は終わる。政権などは簡単に倒れるのだ。重要テーマの書が寿命3年の際物に終わる。社会学者がこれではね。2020/03/06

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