出版社内容情報
遠藤周作の文学の原点、フランス留学時の手記と日記からなる『ルーアンの丘』に昨年公開された情熱的な恋文を加えてファン待望の復刊。
内容説明
こんなにも瑞瑞しい青春があった。戦後初の留学生としてフランスにわたった遠藤周作。留学先から書き送ったエッセイと日記に、恋人フランソワーズへの「恋文」を新たに収録。
目次
赤ゲットの佛蘭西旅行(いざ、エケチットの国へ;すばらしき隣人たち;ああ、フランス…;パリの青い灯;ロビンヌ家の作法教育;青春の光と影;地上の不幸;裁かれた日本人;新しい旅立ち)
滞仏日記(一九五二年九月~一九五三年一月)(コンブルーの国際学生療養所;パリの学生街;死の感覚;ジュルダン病院;フランソワーズ)
(増補)フランス留学時代の恋人フランソワーズへの手紙
著者等紹介
遠藤周作[エンドウシュウサク]
1923年、東京生まれ。慶應義塾大学仏文科卒業。学生時代から「三田文学」にエッセイや評論を発表。1955年、「白い人」で芥川賞を受賞。1966年、『沈黙』により谷崎潤一郎賞を受賞。1970年、ローマ法王庁から勲章受章。1995年には文化勲章を受章。また、“狐狸庵山人”を名乗り、ユーモア小説やエッセイでも人気を博した。1996年9月29日、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なかなか
10
有象無象の情報がいつでも手の中にある現代はある種の幸せを失ってしまったのかもしれませんね。 フランス行きの船旅の途上で出会ったアジアの物乞いやパリの街の魅惑など、実際に人間と接しその場に立って衝撃を受けるという一度切りの状況を得るのはもう難しい。 遠藤文学とかキリスト教についての素養のある人が読むのがいいのでしょう。 昨夏、ルーアンに行った時この本のことを知ったのですが、今はすっかり観光地化していて「瑞々しい青春」の舞台も失われたようです。2024/01/11
ihatov1001
4
遠藤周作氏の若かりし頃の追憶を描いたエッセイ。フランスへの留学、現地での肺病、そして恋人フランソワーズへの書簡が載っています。留学当初は、のちの愉快な狐狸庵節の片鱗が見え隠れしていますが、病気のこともあり、だんだんとシリアスかつ抒情的になってきます。恋人への手紙は甘くそして切なく、色々な感情が読んで取れます。2022/12/28
あや
4
ルーアンの自然やパリの街の描写が美しい。恋をした女子学生が「私が・棄てた・女」のモデルと言われていたことは知らなかった。2019/01/03
koi
3
まだ戦争の影が残る中、フランスに渡った著者のエッセイと日記。くすっとするところもあれば、人間について深く考えるところも。 遠藤周作もこんな恋をするんだ…と胸が苦しくなるような気持ちで読みました。大作家でもこんな青年時代があったんですね。2022/07/19
ぷるぷる
3
20代後半の遠藤周作がフランスに留学した時の旅行記が前半「赤ゲットの仏蘭西旅行」、後半は滞在中の日記「滞仏日記」。1950年に欧州に滞在できたなんて幸運だと思う一方で敗戦国としての受け止められ方に不安を感じます。そんな2つの作品を合わせて「ルーアンの丘」だったらしい。そこに新たにフランス時代の恋人フランソワーズに送った手紙をくっつけていて興味深くはありますが他人の恋路を覗くのにどれだけ価値があるのやら。遠藤周作を深く掘り下げたいとか研究したいとかいう向きの内容。基礎知識なしに読んでも訳わからんと思います。2017/10/17
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