出版社内容情報
日本人が大好きな印象派の画家・モネの魅力に迫りつつ、現代の日本画がなぜ世界画になりえないのか、当事者の立場で語る日本文化論。
【著者紹介】
日本画家
内容説明
日本画家・平松礼二は24年前、オランジュリー美術館の「モネの部屋」で衝撃を受けて以来、モネの足跡をたどり、彼がジャポニスムの影響を受けていたことを実感し、そのモチーフを日本画に変える挑戦を続けている。本場フランスをはじめ、ヨーロッパの人びとを魅了した日本画家が“画家の視点”で語る、いままでにないモネ論。
目次
巻頭グラビア モネとジャポニスム―平松礼二の世界
第1章 モネとの出会い
第2章 印象派とジャポニスム
第3章 画家の眼から見た「モネの魅力」
第4章 “モネ、ときどきゴッホ”鑑賞法
第5章 日本画はなぜ世界に通用しないのか
紀行エッセイ 印象派をめぐる旅
著者等紹介
平松礼二[ヒラマツレイジ]
日本画家。1941年、東京都生まれ。愛知県で育つ。89年、第10回山種美術館賞展・大賞を受賞。94年、多摩美術大学造形表現学部教授に(~2006年)。2000年、MOA美術館大賞を受賞。00~10年、月刊誌『文藝春秋』の表紙画を担当。現在、無所属。一般社団法人日本美術家連盟理事。16年より、順天堂大学国際教養学部客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kentaro
30
芸術家というものは、なかなかモネのようにはいかないもので、パリ画壇に反旗を翻して自分達の世界を追求したにも関わらず、人生の中後半期には、パリ画壇すら手なずけてしまった部分もあった。 例えばオランジェリー美術館のモネの部屋は、スポンサーとパリ画壇の双方を見方につけて製作したものだ。 ジャポニスムといえば必ず名前の挙がるゴッホとは対照的だ。 モネは常におおらかなこころの安定を得ているために、じつに自由におおらかな発想で新しい取り組みをした。 フロンティア精神にたけた画家だったという。2019/07/24
ほじゅどー
9
★★★現代日本画家もオランジュリーの「睡蓮」の部屋に衝撃を受けた。画家の眼から見たモネの魅力。モネはまるでカメラで定点観測するように連作「積み藁」「ルーアン大聖堂」「ポプラ並木」「睡蓮」を描いた。モネは光を求めて戸外に出た。その色彩感は柔らかく優しく鮮やか。モネは色を混ぜて中間色を塗り重ねている。この手法は岩絵の具を使った日本語の手法に近いもの。ジヴェルニーのモネの池は浮世絵の中の江戸の遊女の手鏡という仮説は面白い。季節と自然を映す鏡。オランジュリーの睡蓮の部屋は屏風絵からヒントを得たという仮説も。2019/02/08
はすのこ
9
タイトルの良書感と裏腹に、なんだこの内容...。2016/05/03
chika
6
日本画家である筆者独自の目線で、モネについて語る一冊。日本人が印象派を、モネを好きなのは教育のせいだ、と書いてありますが好きなものは好きなのです。そして教育のせいだといいつつ、日本画を愛したモネへの、モネの睡蓮への筆者の愛を感じます。そして日本画に対する愛も。筆者の作品を生で見たくなりました。2017/07/27
die_Stimme
5
画家である著者による「モネと私」という感じの本。感覚的には、マティスかモネかの違いはあれ一人の画家に憧れ抜いて画家である自身の個人史と憧れの画家との関わりをえがくという点で猪熊弦一郎の『マチスのみかた』に近いものを感じた。猪熊同様、平松も憧れのモネの絵画に着想を得た作品をいくつも描いているが、モネを日本画で描いたらどうなるかというコンセプトもある。カラーで掲載される平松自身の作品は想像以上に素晴らしかった。が、バイアスが強すぎたり主語が大きすぎたり、文章は良くない。平松の伝記として読むならまだいいと思う。2024/02/04
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