出版社内容情報
漢字で書かれた季語を、語源、漢字の成り立ち、中国語との比較などから解説し、日本らしい季節の楽しみ方を知ってもらう漢字の歳時記。
内容説明
季節の移り変わりも、言葉がなければ、ただ目に映って消えていくばかりである。一見、当たり前に見える四季それぞれのそれなりのことを、「歳時記」として、一つひとつの言葉にすることによって、我々の先祖は、「季節」を意識していった。そして、その有り難さを想った。すでに失われたもの、まだ受け継がれているもの、気がつかないほど当たり前になっているもの。著者は、日本文献学を専門に、海外で活動していた。イギリス、フランス、中国の言語や文化に明るく、比較しながら日本独自の季節感を解説する。
目次
春―一月から三月(元旦には若水で福茶を作る;七草粥と爪を食べる鳥 ほか)
夏―四月から六月(電報に咲いた桜;新芽に「ざわめく」季節 ほか)
秋―七月から九月(かきつばたに見る“ひらがな”の誕生;紅花は黄色の花を咲かせる ほか)
冬―十月から十二月(夜寒を感じた時代;行く秋に別れを惜しむ ほか)
著者等紹介
山口謠司[ヤマグチヨウジ]
1963年、長崎県生まれ。大東文化大学文学部准教授。博士(中国学)。フランス国立高等研究院大学院に学ぶ。英国・ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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霜月
17
四季をきちんと味わう。これがなかなか難しくなってきている現代で。スーパーに行けば季節を問わず色とりどりの野菜が並び果物も世界中から届く便利さ。しかし時間に追われ空を眺めたり鳥の鳴き声に耳を澄ませ想いを馳せたり、そんな時間の余裕を失ってしまいつつあるのかもしれない。季節さえここ近年はおかしなことになってきているけれどこの本を捲れば懐かしき日本の四季こもごもが季節ごとに感じられ、何やら改めてこの文化を大切にしたいなぁと思う。密かに不思議だった「紅葉狩り」何故狩りなのかもしっかり教えてくれる。折々に読み返す。2015/11/02
拓陽(いっぽまえへ)
2
四季ごとに、季節に応じた言葉や古来の習慣や文化を豊かに表現してくれている。私は季節ごとにこの本を開いたので、ほぼ1年にわたって読んだことになる。でもそれで良かった。その時々の空気を感じながら読めたんだから。そんな読書があってもいいと思う。2018/11/06
ケロ子
1
象形文字としての日本語の美しさが味わえる一冊。「麦秋」が夏の季語であることが謎だったが、解明した。芭蕉の座右の銘も名句と共に披露される。やはり日本語っていいな。2021/05/16