出版社内容情報
こんな時代だからこそ知っておきたい禅僧仙?高フ人生と思想を、彼が残した味わい深い絵と書から、禅僧である著者が読み解いていく一冊。
【著者紹介】
福聚寺第35世住職、作家
内容説明
「峻厳な青年僧」から「洒脱な和尚さん」へ―。活発・自在な「博多の仙〓(せんがい)さん」の境地とは。若き日からの葛藤と変遷をリアルに描く。
目次
第1章 若き日の身心行脚(自在な心のはたらきこそ―聯「霊山拈華一場敗闕」「多子分座満面慚紅」;弓箭を以て―「石鞏図」;音の描写―「香厳撃竹図」 ほか)
第2章 博多の仙〓(扶桑最初禅窟入山―「自画像画賛」;無事是貴人―二字書「無事」;衆生済度―「布袋画賛」 ほか)
第3章 「みんな同い年」(同慶と「遊」―「指月布袋画賛」;みんな同い年―「老人六歌仙画賛」;不肖の弟子―「南泉斬猫画賛」 ほか)
著者等紹介
玄侑宗久[ゲンユウソウキュウ]
昭和31年(1956)、福島県三春町生まれ。慶應義塾大学文学部中国文学科卒業後、さまざまな仕事を経験。その後、京都天龍寺専門道場に掛搭。現在、臨済宗妙心寺派福聚寺住職。僧職のかたわら執筆活動を行ない、平成13年『中陰の花』で芥川賞を受賞。平成26年には東日本大震災の被災者を描いた『光の山』(新潮社)で芸術選奨文部科学大臣賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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なおこっか
4
仙厓さんの絵を辿りながらその人生も辿る。禅の思想において大切な「円」を饅頭にみたて、「これ食って茶のめ」と描いてしまう軽妙洒脱な仙厓さんに成る前に、住職になれずにギラギラしていた時期があったとは。しかし飢饉の東北を歩き、先達の利他の心に触れ、まあるい仙厓さんへと変わってゆくのが、絵からまざまざと伝わる。三聖(神官、釈迦、孔子)がにこにこと鍋を覗き込む混淆の様は、なんと平和なのだろう。仙厓さんに絵を描いて欲しいと「厠と勘違いしているのか、次々紙を置いてゆく」人々の気持ちがわかる。良寛さんとは同時代人。2022/04/04
nizimasu
3
せんがいさんの足跡を辿るという意味ではなかなか珍しいかも。どうしても人生の後半生の画業に目がいきがちだけど修業時代のせんがいさんにも触れていてどうしても資料が少ないので想像で書きがちではあるけれど、そこは作家の筆力で押し切ったイメージ。でもそれでも楽しいのはしかり。ある種の人間観を養ったヤングせんがいさんといえる読み物です2016/11/27
nao.
3
常に定型を壊す闊達さ。三十三に身を変える観音さま通ずる。仙厓さん面白い。2015/11/10
メイロング
1
仙崖への愛を感じながら、専門的になりすぎないよう工夫された文章が読んでてここちいい。展覧会があったら、このまま図録にできそう。これ1冊で仙崖がわかるわけはないけど、一線を超越した人の存在感は伝わってくる。表紙の絵と指月布袋が好き。2018/03/26
マサトク
0
融通無碍というものだなあ、と思った。こういうふうにこだわりから離れられたら、ええよなー。2016/01/18