出版社内容情報
いま欧米でマルクス再評価が進んでいる。マルクスの「グローバリスト」「ラディカルな自由主義者」としての側面に光を当てる瞠目の書!
【著者紹介】
株式会社アゴラ研究所所長
内容説明
ピケティ『21世紀の資本』で話題沸騰の「格差問題」も、日本が直面する「史上最大の貿易赤字」も、マルクスを読めば、「からくり」が見えてくる。新たなマルクス像に光を当て、現代の諸問題を斬る意欲作。
目次
序章 資本が世界を文明化する
第1章 自由主義者マルクス
第2章 資本主義という奇蹟
第3章 血まみれの手
第4章 神の秩序と法の支配
第5章 アジアの没落
第6章 帝国主義から“帝国”へ
第7章 大分岐から大収斂へ
第8章 日本型資本主義の終わり
終章 資本主義のゆくえ
著者等紹介
池田信夫[イケダノブオ]
株式会社アゴラ研究所所長。SBI大学院大学客員教授。青山学院大学非常勤講師。1963年、京都府生まれ。東京大学経済学部を卒業後、NHKに入社。報道番組の制作に携わり、93年に退職。国際大学GLOCOM教授、経済産業研究所上席研究員などを歴任。学術博士(慶應義塾大学)。池田信夫blogのほか、言論サイト「アゴラ」を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
23
‘00年代に賃金が下がり続け、非正規が全体の4割に近づいた。企業は貯蓄超過(23頁)。内部留保を貯め込んで、いざというときはビンボーにとってはずっといざという時なのに…。それを経営者はわかっていない。手元現金=利益剰余金の使い方は、全てとは言わないが格差是正の社会貢献ではないのか。フランクやアミンは中核国が周辺国を搾取する構造を解明した(98頁)のは、開発経済学、開発社会学で懐かしく思い出される学者たち。ウォーラーステインの世界システム論も半周辺概念を加え従属論を拡張した(99頁)。 2015/02/10
シュラフ
15
マルクスはグローバル資本主義を予測していたという。マルクスの予測というのは、国際分業が広がった先にある労働者がそれを統合するユートピア社会。だが、現実に今あるのは資本主義のグローバル化による格差の拡大である。この本では副題の「マルクスで読み解くグローバル経済の歴史」の通り、16世紀以来の資本主義の誕生から発展、そして現代に至るまでが書いてある。資本主義と国家との切っても切れぬ関係。一方でグローバル化することによる国家支配の弱まりという問題。資本主義と国家との関係を冷静に見守っていきましょうということ。2015/07/11
ブルーツ・リー
4
こちらも図書館本ながら、ある程度の専門性が担保されていて、経済の専門書では何が書かれているのか理解できないであろう自分には、ちょうどいい難易度の本だった。 経済学で、マルクスを書くとなると、絶賛するか、罵倒するか、どちらにせよ、極端な反応が返ってきそうなものだが、本書は客観的にマルクスを論じており、バランス感覚にも優れた1冊だと感じた。 後は専門的な事を学んでいかなくては、資本主義の正体は見破れないが、まずはやはりマルクスの「資本論」は読まなくてはと思った。岩波の文庫で出ているはずなので、いずれ。2021/09/26
だろん
2
マルクスを中心に文献からの引用が多く、それらを研究したこともなければ体系的な理解もしていない自分では正直分かり辛かった。ただ著者がピケティの「 21世紀の資本」が導き出したr>gに我が意を得たりとして、纏め上げたマルクスへの現代版批評と解説だということは判る。ピケティを読破する根性のないサラリーマン諸氏にはこの本と同著者「日本人のためのピケティ入門」でいいのでは…一方、著者はアベノミクスに辛いが、時の政権が我国の資本・労働の構造変化を望んでいたとしても今、即時に舵を切り一朝一夕にできることでもあるまい。2015/04/27
Happy Like a Honeybee
2
イギリスから日本が学ぶこと。美しく老いる知恵なのか? 先進国と後進国の国際分業により、賃金格差が世界的規模で拡大している。 グローバル資本主義とは?国境を越え利潤最大化するグローバル企業と、国境の中で税金を徴収するナショナルな政府の闘いである。2015/04/09