出版社内容情報
改正論議に「待った」! 憲法9条、96条をなぜ変えてはならないのか。憲法界の俊英が、その理由を明快に語る一冊。上っ面の議論は不要。
【著者紹介】
首都大学東京准教授
内容説明
そもそも憲法9条、96条は改正できるのか?集団的自衛権から非嫡子相続まで。憲法論議を正しく楽しむための一冊。
目次
序章 日本国憲法の三つの顔
1 憲法の価値を噛みしめる―国家を縛るとはどういうことか?
2 日本国憲法の内容を掘り下げてみる―いわゆる三大原理は何を語っていないのか?
3 理屈で戦う人権訴訟―憲法上の権利はどうやって使うのか?
4 憲法9条とシマウマの檻―どのように憲法9条改正論議に臨むべきか?
5 国民の理性と知性―何のための憲法96条改正なのか?
終章 日本国憲法の物語―事を正して罪をとふ、ことわりなきにあらず。されどいかにせん
著者等紹介
木村草太[キムラソウタ]
1980年、横浜市生まれ。東京大学法学部卒業、同助手を経て、首都大学東京法学系准教授。専攻は憲法学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
WATA
64
タイトルは「テレビが伝えない憲法の話」だが、実際の中身は「テレビの短い時間では伝えきれない憲法の話」。そもそも憲法とはどういう性質の文章なのか、憲法9条はどう解釈するのが自然か、といったことが書かれている。素朴で分かりやすい意見に飛びつかず、今まで積み重ねられてきた議論を確認しようという姿勢が貫かれており、内容に思想的な偏りは少ないように思う。憲法9条と国際法との関係、「武力の行使」と「個別的自衛権」と「集団的自衛権」の区別、憲法96条の改正議論の問題点などがスッキリと見通しよくまとまっている良書。2014/05/20
壱萬参仟縁
41
国家:社会秩序のために権力を作り、それを運用する団体(30頁)。人の宗教に関与しない一方、強大な権力を担う(44頁)。強大で統一的な権力を主権と呼ぶ(45頁)。あまりにも分かりやすいものは、何かを強力に隠ぺいする(57頁)。この見えにくさに鋭い感性で臨みたい。国民主権:国家権力は全て国民により講師される原理(70頁)。国民の意思:少数派、将来世代を考慮した全体の利益を実現する意思(83頁)。安倍にはこの意思が脆弱。2016/05/14
そり
25
テレビが伝えず、この本が伝えるのは、憲法学の楽しさ。もっといえば、理論や歴史の楽しさ、といった感じだろうか。僕のような憲法に明るくない者にも、身近な例え話をはさみながら、憲法に親しみをもてるように近づけてくれる。しかし、著者は素朴なわかりやすいものに加工したりはしない。憲法に明るくなければ、親しみやすそうになってもやはりややこしい。それが著者の誠実さであり、憲法の面白さの性質だと思う。例えの一つに、詰め将棋の一手詰めでも最初のうちは苦しいが、慣れてくると七手九手を楽しく解けるようになる、とあった。↘2015/06/24
onasu
22
表題は偏向報道云々ではなく、メディアでは時間や紙幅に制約があって伝え切れない、との意。 この辺り、あとがきで冗談も交えているが、昨今の安保騒動でも、双方が分かり易いワンフレーズ合戦。そんなことで結論を出していいのか、てのが本旨。そういうと丁寧な議論となるのが今風だけど、内実は時間を費やす、てだけのポーズ。 僕らは、どうやって自分の身を守っていくのか。単純に結論の出る話しじゃない。ありゃ?、草太さん曰くの、憲法の話し=9条になっちゃってるぞ。 他の方のも読んでみよう、そう思わせてくれる好著でした。2015/09/20
ほっしー
14
憲法学者の著者が憲法について解説した本。日本国憲法の3つの顔、9条について、憲法改正についてなどがわかりやすく説明されていた。憲法に詳しくない人(自分も含む)にはまさに入門編的本だと思う。著者は護憲派(憲法学者は護憲派が多いらしい)のようなので、改憲派の憲法学者の本も読んでみようと思う。ちなみにタイトルはメディア批判ではなく、メディアには時間などの限界があり、詳しいことが伝えられないのはある程度しょうがないというもの。護憲派でも改憲派でも感情に訴える手法はあまり信用してはいけないね。2015/11/13