出版社内容情報
貧困率や生活保護受給者数が過去最高となった日本社会の病巣は何か? 私たちが豊かになる機会を奪われないための方策を説く。
【著者紹介】
同志社大学教授
内容説明
男女、教育、家族、世代、地域…。データが語る“不均衡社会ニッポン”の実態。機会平等を追求するのか、それとも経済効率優先か?
目次
第1章 機会不均等と公正さ
第2章 男女の機会不均等
第3章 教育の機会不均等
第4章 家族を持てない機会不均等
第5章 世代間の機会不均等
第6章 地域間の機会不均等
第7章 その他の機会不均等
著者等紹介
橘木俊詔[タチバナキトシアキ]
1943年生まれ。小樽商科大学卒業、大阪大学大学院、ジョンズ・ホプキンス大学大学院修了(Ph.D.取得)。仏米英独にて研究職・教育職、京都大学経済研究所教授、経済企画庁客員主任研究官、日本銀行客員研究員、日本経済学会会長を経て、同志社大学経済学部教授。主な著書に、『日本の経済格差』(岩波新書、エコノミスト賞)、『家計からみる日本経済』(岩波新書、石橋湛山賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Miyoshi Hirotaka
25
戦争を遂行するために政治・経済・社会を改革した戦時体制が本領を発揮したのは高度経済成長期。1980年代には完全失業率は低水準、企業内でも社長と平社員の年収格差が縮まる平等社会が実現。2.26事件で青年将校が蜂起するに至った格差社会は解消した。ところが、結果平等は参入障壁とコスト高社会を生み、機会不均等という新たな問題を生じさせた。今後の課題は公平な参入機会が得られること、本人がコントロールできない資質による差別をなくすこと。但し、その追求は経済効率性を著しく侵食することがないようにしなければならない。2015/07/13
壱萬参仟縁
12
格差研究では山田昌弘教授と共に権威。昨朝のフジ系報道2001でも理科の先生の非常勤講師の薄給問題を扱っていた。公正感とは、個人がその資格や条件にふさわしいやり方で処遇されているか、あるいは正義にかなった方式で処遇されているか、という印象に関する(37頁)。非常勤講師は大学であれ、高校や中学であれ、物品費扱いで人件費ではないのでは困る(昨日のTV)。公正な基準があり、それを充たしているにもかかわらず、理不尽な理由で同一労働同一賃金を得られないのは、経営側のご都合によるだろう。マイナンバーICカードとハロワ。2014/01/20
精看探求士
6
閉塞感が漂う日本。現状、つまり結果の格差だけでなく、機会そのものの格差を問う本書。親の年収による教育格差や、東京一極集中による地域格差など、幅広いテーマを挙げる。しかし、公正を目指すと、経済効率の面でデメリットも。個人の価値感による部分もあり、一概に出来ない。経済学、社会学だけでなく、障害者福祉の観点からも参考資料が豊富。また、女性の社会進出の歴史は涙ぐましい。機会均等のため、クォータ(割当制)の導入事例も詳しい。消費税増税や年金問題を考える際にも、本書は重宝するはず。政策にも興味が湧くかも。2015/06/18
Moloko
4
結果の不平等ではなく、機会の不均等をテーマに取り上げ、何が人にとっての機会が平等であり、公正なのかを整理してから論じていて、趣旨の全部に賛成する訳ではないが、的を得た指摘が散見された。しかし、義務教育制に小学区制が最適かというのも根拠が薄い。今は改善されている地区も多いが、都市周縁には問題の多い(生徒が通う)学校もあって、親が国私立へ通わせない限り小学区制は嫌でもそういう所に行かされる生徒も出てくる。都市部では徒歩圏内でも3校の小中学校はあるのだから選択の自由を認める余地はある2017/03/06
Uzundk
4
心理学や歴史から見ても、公平"感"は制度などで規定したらその意図を喪失し形骸化するのが常で何とか"ならない"部分も多く存在すると考える。私自身が"効率重視"の志向故に本書の中で語られる公平のための"政策"にはあまり共感できなかった。 格差があるのは仕方ない、その多くが慣習から生まれているのを私達は知っている。後出来る事は各個人が社会をどう認識し、他人と関わるのかの方が大きなウェイトを持つように思う。 ただし、家族や結婚などの仕事以外の機会面は国の存続条件として、考える必要はあるかとも感じた2014/08/02
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