出版社内容情報
アヘン戦争から始まった中国外交100年の苦悩に対処した、清王朝、孫文、袁世凱、毛沢東ら、政治リーダーに一貫した共通の心理とは。
【著者紹介】
東洋学園大学教授
内容説明
アヘン戦争、日清戦争を経て、辛亥革命から100年―歴代政権が苦闘した「負の遺産」とその超克の歴史を「中国近代史の継続性」を重視する立場から描いた力作。
目次
序章 中国の近代史を再検証する
第1章 中国はなぜアヘン戦争に負けたか
第2章 旧体制への「最後の一撃」―日清戦争
第3章 孫文が背負った「負の遺産」
第4章 蒋介石が手に入れた「史上空前の勝利」
第5章 二十一世紀中国外交の教訓
付録 中国対外関係史年表
著者等紹介
朱建栄[シュケンエイ]
東洋学園大学教授。政治学博士。1957年上海市生まれ。華東師範大学卒。来日し、学習院大学大学院で政治学博士号を取得。東洋女子短期大学助教授を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yokmin
3
「中国の拡張主義を示す証拠はない」(P-175/176)は、素直にはうなずけないが、「近代史の体験で形成したトラウマ、被害者意識から早く脱皮して、今日の中国の大きさ、責任の重さを自覚して、それに相応な新しい外交を展開してほしい」(P-185)は、建設的な見解である。 2013/01/20
asac3310
1
中国の歴史は清、中華民国、軍閥、共産党と分断してとらえられるが、外交の一貫性で歴史をみていくのは新しい観点で面白かった。日清戦争のころは国際社会への外交は日本が優位だったが、日中戦争を通し蒋介石を中心として中国が連合軍の中で政治的に大きな存在になっていくくだりも興味深い。 いま中国でも革命史観にとらわれない歴史を編み出す流れが出来ている。未来志向で東アジアの歴史を考えたい。2012/12/08
ハンギ
0
中国の外交について、その内側のイメージと外側のイメージの乖離を批判しつつ、統一した中国史にむけて歩む、作者の息づかいが聞こえる。文章的にも抽象的な部分が多いけどその分、作者の悩みも伺える。主に開国の前半後半の新しい歴史の発見について重点的に述べており、『海国図誌』の作者の魏源の評価見直しと、袁世凱と国民党の蒋介石の中国本土からの再評価があるそうで、けっこう現代の中国の歴史研究も多様化しているようだ。それに合わせて、歴史教科書は誇張して教えているのではないか、という批判も中国の歴史家から上がっているようだ。2012/11/26