内容説明
天保八年、神田百壁町の甚兵衛長屋近くにある煮売り屋“おかめ”を営む「こはる」は、一年前に腕利きの大工だった夫・幸次郎と死に別れ、母・娘との三人暮らし。“おかめ”への客足が減るなか、幼子をあやすのが得意なこはるが思いついたのは、子預かり屋の商売だった。―夜泣き、寝小便、よろず承り候。よそ様の赤子の世話はもちろん、夫婦喧嘩の仲裁やら何やらと相談にのるうちに、気になることがあると首をつつこまずにいられない性格のこはるは、身近で起こった奇妙な事件に巻き込まれ、その解決にひと役買うことに…。
著者等紹介
翔田寛[ショウダカン]
1958年生まれ。2000年、『影踏み鬼』で第22回小説推理新人賞を受賞、デビューを果たす。受賞後第一作の『奈落闇恋乃道行』は第54回日本推理作家協会賞短編部門の候補作となった。以降、歴史上の人物を登場させる作品を三作続けて刊行。2008年には、『誘拐児』で第54回江戸川乱歩賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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onasu
25
連れ合いを亡くし、幼い子連れで母の営む煮売り屋に出戻ったこはる。子供好きから、子供を預かる商売も始める一方、気になることがあると、お節介を焼かないではいられない。まして、子供が関わっていそうならば。 母おていとのやり取り、仕込みからの煮売り屋の情景、預かった子の世話に雇った弱視の娘など、人情噺的な要素には、読み飽きない魅力を感じたが、こはるの首を突っ込む事件は少し違った方向に。 この幕切れじゃあ、こはるは得心できないわなあ。作品の雰囲気は好きですが、何かミスマッチな印象も残るのが残念なところです。2014/01/08
紫綺
22
江戸時代を舞台にした人情ミステリー。表紙のイラストや主人公の設定からして、ほのぼのとした癒しを期待したのだが、結構シリアス。もっと人情を全面に押し出した、ハートウォームな展開にすればもっと人を惹き付けられたのでは?2011/03/08
うみろー
20
かわいい表紙につられて借りた。夫を亡くしたこはるが実家の煮売りやを手伝いながら、近所の捕り物にも首を突っ込み、子供を預かる仕事もすると言う話。人情満載なのだが、なぜだかしっくりこなかった。正義がこはるの手の中で行われている感覚。罪って償わなければ本人にとっても「枷」に成る気がするが…それとも法に守られている私(現代人)の傲慢だろうか。2014/05/27
ゆみねこ
13
初読みの作家さん。江戸の神田白壁町の長屋近くの煮売り家の手伝いをしながら、子供のあつかいが上手なこはるが身近で起きた奇妙な事件に巻き込まれ、その解決に一役買うというもの。なんだろう、やや中途半端な感。宮部さんのぼんくらの二番煎じのような…。シリーズものなら、また読むかも?2011/08/19
なつき
11
どんな子もお茶の子さいさいの特技を活かして託児商売を始めたこはる。・・・あまり設定を活かせているとは思えないのが残念です。事件はいつも外で起きてるし、預かっている子が関わっている事件もないし。こはるの子供好きも抱っこしたら泣き止む、すごいでしょってだけでは説得力もない。多分、偉そうなことを言ってる割に、肝心の自分の子との触れ合いがあまりにも少ないからかも。定番かもしれないけど、石女で離縁されたけど子供が好きで喜んで預かるって設定の方が良かったかな。2013/05/23