内容説明
サツマイモは米やパンよりも安価で、栄養価が高い。しかも、痩せた土地でも容易に育つ。近年、アフリカでは収穫量が増え続け、いま、宇宙ステーションでの宇宙メニューのエースと目されている。サツマイモが琉球に伝わったのは江戸時代のはじめ、約四〇〇年前のこと。「救荒作物」として飢饉に苦しむ民衆を救い、日本の各地へ栽培が広まっていく。そのことは、各地にサツマイモにまつわる寺社が多数建てられていることでも示される。本書は、こうした各地にある芋物語の足跡を訪ね、町おこしの現場を取材して歩く。
目次
第1章 戦場のサツマイモ
第2章 銃後では
第3章 サツマイモの来た道
第4章 神になった日本人
第5章 カライモのセン
第6章 出・天草
第7章 「サツマイモ」VS「ジャガイモ」
第8章 労研饅頭
第9章 こんな出稼ぎもあった
第10章 町おこし、まちづくり
終章 サツマイモの行く道
著者等紹介
伊藤章治[イトウショウジ]
1940年生まれ。名古屋大学法学部卒業。中日新聞社社会部記者、バンコク支局勤務などを経て編集委員兼論説委員。2001年より2010年3月まで桜美林大学教授。「環境史」を教える。現在、桜美林大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ようはん
19
新大陸から来た作物の中ではサツマイモは特に日本に馴染んでいるというか、何かこうもっと昔から日本に土着してた感があった。この本にて救荒作物としての普及に数多くの人々が心血を注いで来た歴史を知り、その感を理解できた。2022/01/17
Humbaba
3
サツマイモは栄養価が高く,荒れた土地であっても栽培可能である.日本に伝来してきて400年だが,その間に果たした効果は非常に凄いものだった.それは,欧州におけるじゃがいもと同じような価値があるものであったと言える.2010/11/28
メロン泥棒
3
サツマイモ関連の話を新書1冊分寄せ集めただけという感じでイマイチ。ちょっとした雑学的な面白さはあったが。特にサツマイモを宇宙食にする計画は興味深かった。他には、若者よりも年寄り、東日本よりも西日本の方が「イモ」といえば「サツマイモ」をイメージする率が高いという話も面白い。雑学に徹するか、体系的にまとめてくれるかすればもっと印象も違ったのだが。2010/10/18
belier
1
「ジャガイモの世界史」が面白かったから、サツマイモはどうかと思って同著者の本を読んだ。こちらは日本に特化している。著者は各地を取材して書いているが、残念ながらこの本は前作より内容が薄いように思う。とはいえ、サツマイモに関連するマイナーではあるが、新しく史実を知ることは楽しい。また水俣や石牟礼道子の話題に触れた章やペシャワール会についての章は、前々から関心がある話題なのでサツマイモに絡めて知識を深められてよかった。2025/02/06
decuno
1
微妙。さつまいもの話じゃなくて時代時代の人がさつまいとどのように接ししてきたかみたいな話ばっかで微妙だった。2012/03/05