内容説明
刑事くずれの探偵・鬼束啓一郎は、ヤクザの次男坊・仁科英雄に依頼され、謎の殺し屋“ミスター”を探すことになった。息子と妻を喪った過去に苦しむ鬼束は、英雄・大輝兄弟とミスターの正体を探るうち、裏社会の抗争に巻き込まれていく。やがて絶体絶命の窮地に立った鬼束と英雄は…。謎の殺し屋を追う元刑事、深い闇に沈んだその心に救いはあるか。男たちの魂の絶望と再生を描く渾身のハードボイルド長篇。
著者等紹介
香納諒一[カノウリョウイチ]
1963年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。出版社勤務のかたわら、’91年「ハミングで二番まで」で第13回小説推理新人賞を受賞。’92年に『時よ夜の海に瞑れ』(祥伝社)で長編デビュー。’99年には『幻の女』(角川書店)で第52回日本推理作家協会賞(長編部門)も受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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RIN
32
冒頭は新堂冬樹さんばりのノワール系ハードボイルドか?と思わせて・・・。そこはやっぱり香納さん。どんな世界にいてもどんな職業に就いていても荒んでいても熱くなっていても、人は歩いてきた道の延長としての今がある、ということを感じさせる。だからこそ香納ワールドは非日常の物語のようで何故か身近に感じられるのだろう。本作も、無能な暴力団御曹司と物憂げで投げやりな元刑事探偵と、およそ共感を得られそうにない設定でありながら、ちょっとした呟きや仕種の積み重ねで読み進むにつれて愛おしくなってくる不思議。続編書いてほしいな。2016/06/05
紫綺
20
久々のハードボイルド。いきなりハードな出足には度肝を抜かれた。妻子を亡くした元デカの、ミステリー色を交えた良策。風変わりな個性豊かなヤクザや妙に格好いい殺し屋がいい味出している。小気味よいテンポで読め、読後感も良かった。2011/02/18
かりん
14
初読み作家さん。タイトルから「ハードボイルド」が想像できなかったが、面白かった。主人公・鬼束より英雄と大輝の兄弟が良い味を出していて魅力があった。テンポも良く、個々に心に闇を抱えながらも前に進む様が良かった。最後にタイトルの意味も納得。2015/01/22
ミーコ
11
久しぶりの香納さん 面白かったです。 英雄に大輝、憎めないキャラですね 英雄の「あんたのような親父がいたなら…」と言う言葉に涙が出そうになりました。最後に 「熱愛」の題名の意味が分かりました。2012/06/24
うぇい
7
面白かったです。 先日『絵里奈の消滅』を先に読んでしまい、この作品を読み漏れていた事に気づいたので、読んでみました。この作品の方が本格的なハードボイルドに感じ、徐々に真相が明らかになって行くのも面白かったです。 香納さんの旧作『幻の女』に匹敵するのでは。2018/12/19