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内容説明
「好奇心を満たすため」「科学の発展のために」…。科学者に「何のために研究をしていますか」と問うとそんな返事が返ってくることがある。これは残念な発想だ。著者が宇宙に行って掴んだ科学技術研究の本質、またヨーロッパ人とは違う日本人の科学観を説き、日本人が科学技術に対してどう向き合えばよいか考える。館長をつとめる日本科学未来館の理念・取り組みについても語る。
目次
第1部 日本人のための科学論(日本の科学技術の現在;日本の科学 これが大問題;科学技術は文化である;日本科学未来館での取り組み;本来の科学リテラシーと、科学館の役割;宇宙からの思索 宇宙への想い)
第2部 科学を伝える‐人材を育てる‐つながりをつくる(高校生が未来館に夢中になる時;科学とアート)
著者等紹介
毛利衛[モウリマモル]
1948年北海道生まれ。北海道大学工学部助教授、宇宙航空研究開発機構を経て現在、日本科学未来館館長。日本学術会議会員。核融合研究者から85年、日本初の宇宙飛行士に選ばれる。92年日本人科学者として初の無重力宇宙実験遂行。98年NASA宇宙飛行士資格取得。2000年三次元地図作成ミッションおよびハイビジョン映像による地球観測遂行。03年しんかい6500にて深海実験遂行。05年南極皆既日食観測参加(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
愛奈 穂佳(あいだ ほのか)
8
【心の琴線に触れた言葉】役に立つということ、イコールお金儲けという考え方は間違いですよというメッセージも大事です。何と言っても、その考え方から、今の社会が抱えるさまざまな問題が生まれているのですから……。2013/11/20
焼きそばん
4
恥ずかしながらこの本を読むまで科学未来館の存在を知りませんでした、毛利さんの熱い想いを読むと行ってみたくなりました。科学技術を難しいものだから自分には無理と思わずに、少しでも興味を持ってもらえたらというメッセージでよいのではないであろうか、題名が少し硬すぎる(おそらく毛利さんの性格を表しているのであろうが)2016/09/22
NekoApple
4
『日本人のための科学論』/毛利衛/PHPサイエンス・ワールド新書/★★★★☆/現在の日本の科学技術の現状と課題を述べた後、毛利さんが館長を務める科学未来館の使命とサイエンス・コミュニケーションの必要性を述べる。/http://bit.ly/g7UlgL2010/12/22
サンセット
2
好奇心によってのみ研究する科学者がいたのも今は昔、せいぜい一部の大学の研究室くらいだろう。今ではどこも競争で、社会への成果が求められる。技術者が社会との関わりを意識するのはもはや当然のこと。しかし、競争によってモノ作りをするのは、弊害も多いだろう。「科学技術とは、(好奇心のためでなく、)芸術や文学と同様、少しでも多くの人が集団で生き延びるための智恵や文化」だという意見が印象に残った。あと、ポスドク一万人計画とかは初耳だった。自然の成り立ちを見抜ける人がもっと社会に出て欲しい。2016/05/24
ふみ
2
科学は文化である、というのがこの本の一つのテーマだった。科学技術の研究に携わった生活を送っていないと、どうしても科学は難しく理解できないものだと考えてしまうものだが、実際、科学は私たちの生活に深く関わっている。環境問題や原発問題などによって、科学技術の著しい発展が非難されることも現代社会においては珍しくないが、それらが人間の生活にどう関わっているのかを深く知って、正しく評価することも必要だと感じた。2015/03/16