出版社内容情報
18歳で「源氏物語」に出会い、日本人の日記に魅せられ、3・11を契機に日本国籍を取得した著者。日本に寄せる思いに学べることは?
内容説明
東日本大震災直後、多くの外国人が離日するなか「今こそ日本人とともに生きたい」と日本への永住を決意し日本国籍を取得したキーンさん。日本人が見過ごしてきた日本文学、日本人の心、日本文化の魅力を語ります。
目次
日本人になる
銀閣寺との出合い
日本の美の原点東山文化
足利義政が残したもの
日本人の美意識
『源氏物語』との出合い
日本語に魅せられて
心を揺さぶった日本兵の日記
日本人の美徳
日本人となる決意
日本人の立ち直る力―震災後の日本の姿
日本文学の魅力―文学の力
著者等紹介
キーン,ドナルド[キーン,ドナルド] [Keene,Donald Lawrence]
1922(大正11)年、ニューヨーク市生まれ。日本文学研究者、文芸評論家。2012年3月、日本国籍を取得し、日本人となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒロミ
60
NHKの番組を書籍化したインタビュー本。穏やかだが毅然と日本への愛と帰化に至ったいきさつを語るキーン先生。読みやすかったのでキーン先生の深遠なるお考えの一部にわずかながらも触れられたような気がしました。特に日本文化の質素で簡素な美に魅せられるというキーン先生。源氏物語のペーパーバックの出会いから日本への傾倒が始まったのですね。源氏物語の原文、「浮舟」で挫折してすみません…またトライします!2016/08/08
№9
54
著名な日本文学研究家としての氏のルーツに触れることができる一冊だ。氏が先の大戦で米海軍の日本語通訳官として従軍したとき、日本兵の日記を読んだエピソードが興味深い。極限状況に置かれた日本兵たちの日記に綴られたあらゆる告白は、どんな文学よりも私に深く訴えたと。氏はあらためて日本文学の中の「日記」を研究し始め、高見順の「敗戦日記」と出会う。氏は高見順がそこに記した日本人の姿に共鳴し感動したという。埋もれていた日記文学の傑作がこうして氏によって再発見される。日本語こそが日本人の一番の宝物との氏の言葉が印象深い。2014/02/01
ケロリーヌ@ベルばら同盟
49
NYタイムズスクエアで手にした分厚い二冊組のお値打ちな新古書、それが18歳のキーン少年と日本文化との出会いでした。折しも1940年。世界中が戦争の坩堝へと突き進む時代に、源氏物語を読み、愛や美の為に生きる登場人物に感銘を受け、暗闇の中に一条の光を見出した氏は、大学卒業後日本語学校で学び、皮肉にも通訳・翻訳担当者として従軍。捕虜となった日本兵の尋問、血臭漂う手帳に綴られた日記を読むことを通じ、日本の心に触れ、寄り添って行きます。日本を愛し、その文化と美徳を我々に再認識させて下さった氏に感謝の念は尽きません。2019/03/30
ばりぼー
46
18歳でアーサー・ウェイリー翻訳『源氏物語』に出会い、その愛と美の世界に魅了され、大学卒業後は米海軍日本語学校で学び、通訳・翻訳担当として従軍、日本人捕虜への尋問、日本兵の日記の翻訳などを通じて「日本語そのものに惚れた」状態に。終戦後、京都大学大学院に留学、茶室も備えた質素な日本家屋に住み、茶の湯を嗜んで狂言の稽古に励むなど、わび・さびといった純日本人的価値観を日本人以上に理解している方です。キーン氏が日本を賛美すればするほど、日本人の語彙力が低下し、美しい日本語が廃れている今の状況が情けなくなります。2016/12/17
金吾
40
○日本人及び日本文学、日本語に対する深い愛情を感じます。応仁の乱以降の復興を東日本大震災に掛け合わしている部分、高見順の日記の部分は感動しました。2023/11/15
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