出版社内容情報
シカのように走るのが速い母と心臓に問題をかかえながら、計算が抜群に得意な娘。娘の手術費用をつくるため、母が決意したことは……
【著者紹介】
作家
内容説明
ひたすら走る母を心配しながら、たびたび心臓発作におそわれる娘シサンダ。不思議な力をもつ祖母、変わり者のおじさん。そんな家族を見守る、学校や村の人たち。人と人のきずながあたたかい感動の物語。フランスで異国をテーマにした優秀作品に贈られる「アメリゴ・ヴェスプッチ賞」受賞作を翻訳。
著者等紹介
プティ,グザヴィエ=ローラン[プティ,グザヴィエローラン][Petit,Xavier‐Laurent]
1956年、パリ生まれ。哲学を学び、小学校教諭、校長を務めた後、1994年に推理小説『Le crime des Marots』(未邦訳)で作家デビュー。その後、児童書など、時事や異国を取り上げた作品で多数の文学賞を受賞。『走れ!マスワラ』で異国をテーマにした優秀作品に贈られるアメリゴ・ヴェスプッチ賞を受賞
浜辺貴絵[ハマベキエ]
1982年生まれ。白百合女子大学フランス語フランス文学科卒業。フランス語翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シュシュ
23
ナイロビマラソンの実話をモデルに書かれた話。心臓病を抱えた9歳のシサンダと母親のマスワラ。マスワラは毎日何時間も走る。どうしてそんなに走るのかと聞かれると、マスワラは「この足に聞いて。朝になると走りたくなるのよ」と笑って答える。シサンダの心臓の手術費のために、マスワラはマラソン大会に出場することになった。優勝賞金を狙って…。タバンおばあちゃんや、家族以外の人からズズ(おばかさんの意味)と呼ばれているベニアおじさんもよかった。最後の場面はドキドキして涙が出そうになった。マスワラの頑張りに心を打たれた。2016/03/16
ケニオミ
13
アフリカの寒村で暮らす少女シサンダ。彼女は生まれたときから心臓に欠陥があり、いつ心臓が止まってもおかしくない状態が続いている。シサンダには母さんがいる。足が速いのでレイヨウと呼ばれている母さん、マスワラだ。ある日シサンダの心臓の受診に行ったときに偶然拾った古新聞。それには毎年開かれる女子マラソンの結果と優勝金額が載ってあった。優勝すれば娘シサンダの心臓手術ができると知ったマスワラは、家畜を売って参加費を工面し、レースに臨むのだが・・・。自分もランナーであるせいか、泣ける話でした。お薦めします。2015/11/13
杏子
10
娘シサンダの、重い心臓の病気を治す費用を得るためにマラソン大会出場を目ざした母マスワラ。 レイヨウより早く走ることができると皆から言われてきたマスワラだが、練習中にサソリに刺され、怪我をしてしまう。看護師が呼ばれ、薬を注射したのとレイヨウの力とによって回復したマスワラだったが… マラソン大会の中継を食い入るように見つめる近所の人たちの一喜一憂する様子に胸打たれる。感動的な話だが、作者はフランス人。一度もアフリカは訪れたことがないと言う。なのに、アフリカの話?新聞記事を見て、話が生まれたそうだが…2012/07/23
7petit
9
生まれつき心臓の悪いシサンダ。彼女が横たわりながら聞いている、自分の心臓の音、ひどい砂埃をおこす風の音、母親のマスワラの気配と足音・・・ シサンダの細やかな感性の描写にとても惹かれました。2012/06/14
ようこ
9
貧しいが近所の人やきょうだいの間に素朴で温かい交流が感じられ、また医学以外の不思議なものに怪我や病気からの回復を頼ろうとするところなど文化の違いも興味深い物語だった。アフリカで生まれ医学の恩恵を受けにくいこどもたちの力にもなりたいと思える一冊2012/06/09