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悲しみのダルフール―大量虐殺の惨禍を生き延びた女性医師の記録

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  • サイズ B6判/ページ数 444p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784569777801
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0098

出版社内容情報

スーダンの民族浄化を生き抜いた女医の物語

スーダン・ダルフール地方を襲った民族浄化の惨禍。非情の現実を生き抜いた女性医師が、人間の尊厳とは何かを問うノンフィクション。

アフリカ・スーダン西部、ダルフール地方。著者ハリマ・バシールは、砂漠の中の伝統的なザガワ族の村に生まれ、家族の愛に包まれながら豊かでいきいきとした幼少期を過ごす。



▼成績優秀なハリマは、周囲の偏見や差別にも負けず、見事に首都ハルツームの大学に進学し、医師の資格を取得する。しかし、そんな幸福な日々も長くは続かなかった。

▼アラブ系民兵組織ジャンジャウィードが各地でアフリカ系住民の村を襲撃し、国内は大混乱に陥っていったのだ。



▼その惨状は、とても正視に耐えるものではなかった。村人は手当たり次第に暴行、虐殺され、無垢な少女たちまでもがレイプされた。

▼ハリマはそのなかで一人の医師として必死の抵抗運動を続けるが、ついに魔の手は彼女の身の上にまで及ぶ……。



▼今世紀最悪の人道危機とも言われるダルフール。これは、非情の現実を生き延びた一人の女性医師が、人間の尊厳とは何かを問う、渾身のノンフィクションである。

【第一部】砂漠の少女 
●第1章 命名 
●第2章 「失われた渓谷」への祖母との旅 
●第3章 月の骨のゲーム 
●第4章 モハメドとオメルとわたし 
●第5章 割礼のとき 

▼【第二部】砂漠の学校 
●第6章 学校生活 
●第7章 学校での闘い 
●第8章 祖母への反抗 
●第9章 白い睫毛への攻撃 
●第10章 シャリフとの出会い 
●第11章 将来の夢 

▼【第三部】戦火の砂漠 
●第12章 医学部 
●第13章 ジハードの大学 
●第14章 戦争の噂 
●第15章 女医 
●第16章 救急病棟 
●第17章 マスカバドへのミッション 
●第18章 反体制派の医師 
●第19章 黒犬と奴隷 
●第20章 追跡者 
●第21章 遠距離の結婚式 
●第22章 悪魔の騎馬隊 
●第23章 恐怖の日々 

▼【第四部】帰らざる砂漠 
●第24章 ダルフールからの脱出 
●第25章 絶望の難民宿泊所 
●第26章 ロンドン、愛 
●第27章 沈黙を破るとき 
●第28章 生きようとする意志 
●エピローグ  

内容説明

スーダン・ダルフール紛争による死者は40万人。暴行、レイプ、虐殺などの非情の現実を生き抜いた女性医師が自信の半生を告白。人間の尊厳とは何かを問うノンフィクション。

目次

第1部 砂漠の少女(命名;「失われた渓谷」への祖母との旅 ほか)
第2部 砂漠の学校(学校生活;学校での闘い ほか)
第3部 戦火の砂漠(医学部;ジハードの大学 ほか)
第4部 帰らざる砂漠(ダルフールからの脱出;絶望の難民宿泊所 ほか)

著者等紹介

バシール,ハリマ[バシール,ハリマ][Bashir,Halima]
スーダン・南ダルフール地方で、独立心の強いザガワ族の娘として生まれる。豊かで恵まれた幼少期を過ごし、医学を学ぶために大学に進学。ザガワ族初の正規の医師として帰郷する。その後、アラブ系民兵組織ジャンジャウィードによって平和な村々が突然の襲撃を受け、多くの犠牲者が出たことを機に抵抗活動を開始したが、逮捕・監禁され、残酷な拷問を受ける。ダルフールの地獄から逃れるためには永遠に故郷を去るしかないと悟り、ロンドンに脱出

ルイス,ダミアン[ルイス,ダミアン][Lewis,Damien]
数多くの受賞歴を持つ作家、映画制作者

真喜志順子[マキシヨリコ]
翻訳家。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テツ

18
スーダンで現在進行形で行われているジェノサイドであるダルフール紛争。その地で生きてきた女性医師の記録。彼女が成長するまでのおもいでやその後に起きた惨劇が綴られる。幼い頃の記憶。優しい家族や地域の風習。それはもう二度と戻らない。異なる民族同士の小さな争いはやがて殺戮や強姦による民族浄化に発展していく。人間の中から完全には獣としての性がなくならないように争いも決して無くなりはしないのだろうけれど、無軌道な殺戮には歯止めをかけなければならない。生命の尊厳とか生まれた意味とかこんな平和な日本で語る言葉ではない。2017/04/06

ののまる

9
あああ、酷い酷い酷い。人間が人間にこんなことができるなんて。ジャンジャウイード恐ろしい。30年の独裁政権が一応終わったけど、どうなるんだろうか。そしてダルフールから逃れてきた難民を、上院で拒否発動される前に急いで強制送還しようとしたイギリスの内務省も酷い。そもそもアラブ系と黒人系の反目はイギリスが植民地時代に作ったものでしょうに。しかし、日本はいまももっと酷いことを難民にしているけど。2020/03/05

yooou

6
☆☆☆☆★ スーダンでどんなことが進んできたのか、この本を読むまで全くわかっていませんでした。しかもそれはイギリスが持ち込んだ分離主義にまで遡る問題でありました。こうした現実や過去を顧みず石油を奪い、何も知らずに平和に暮らす自分たちにも責任があると思う次第であります。2014/01/18

鈴と空

2
19章以降は読むのがしんどい部分もかなりあった。生きたままの人間を燃え盛る家の中に放り込むことも、7歳の子どもをレイプすることも、命からがら逃げ出してきた人をその地へ送り返すことも、とても想像できない話だけど、それがほんの数年前に実際に起きたことなんだな……。2011/07/12

渓流

2
市井に生きる一女性の上に起こった事件を彼女自身の目と心で、綴ってあるのが、記者の取材よりも、人道関係者のステートメントよりも尚一層、事の悲惨さ、凄絶さを伝えて余りある。語る言葉は、平易で、過度の修飾語もなく、淡々と時系列に沿って、彼女の身に起こったことを述べていき、事件のクライマックスがどこにあるのかも分からないような構成だが、反ってそれが、事の大きさを伝えている。しかし、彼女をしてこの神さえも見放したかのような体験を克服するエネルギーは奈辺にあったのか?父の愛と存在、高い教育がそれに一役買っていたのか?2010/08/23

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