出版社内容情報
死してなお衰えない、芸術家が残した意志とは。
今なお人気を集める岡本太郎。彼が代表作で成し遂げようとした、生涯最大の挑戦とは。激しくも純粋な芸術家の「賭け」が胸に迫る。
「人生、即、絶対的な闘いなのだ。それは絶え間のない、永遠の冒険だと言ってもいい」――岡本太郎
▼今なお人気の衰えない岡本太郎。彼の代表作である太陽の塔は、1970年の大阪万博で生まれた。しかし、太陽の塔は万博のシンボルではない。それどころか、万博への反逆にほかならなかった。権力、伝統、常識、既成概念、自分自身……あらゆるものと闘い続けた男が、最後に挑んだものとは? 若き日の苦悩、パリでの運命的な出会い、母国での絶望、縄文へのめざめ、日本人としての覚悟、そして呪術。彼は、太陽の塔に何を賭けたのか。太郎の生涯のパートナー・岡本敏子の甥であり、生前の太郎にも近しかった著者が迫る。
▼「成功しようと思うな。失敗したっていい」「いつも危険だと思うほうに自分を賭ける。それが生き甲斐だ」。読者を励まし、勇気づけ、挑発する力強い言葉が多数。情熱のままに生きた芸術家が、現代の私たちを挑発する。
●はじめに
●第1章 突き立てられた太陽の塔
●第2章 反博の巨像
●第3章 「岡本太郎」の誕生
●第4章 日本人を呼びさます
●終章 そして太陽の塔だけが遺った
●おわりに
●引用元一覧
●岡本太郎にもっと触れたい人へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yukari
6
この本で太陽の塔に会いにゆかねばならないと確信した。太陽の塔は太郎が万博に仕掛けたテロであると著者が書いておりわろた。万博のテーマである国威掲揚、技術礼賛、産業振興のどこにも属さない、むしろそれらに対抗してただそこにあるのが太陽の塔。テーマ展示なのに反博の太陽の塔を作る、何もないがテーマだったお祭り広場にそれをぶっ立てる、さらにメインとなる大屋根を突き破るというベラボーさはあっぱれだが、それが同時に万博のメイン広場の導線問題を解決する設計であるというのがまたすごい。願わくば太陽の塔の中へ入りたい。2017/02/26
結城あすか
5
「太陽の塔」が持つ原初的な生命の力強い息吹、それは日本人の心を大きく揺さぶる存在だにょ。同じように原初的な土俗風の音楽で魅了する伊福部昭の音楽と似てる気がするにょ。そんな岡本太郎が「太陽の塔」で何を語ろうとしたのかを考えさせてくれるにょ。2009/11/21
moimoi
4
岡本太郎はやっぱり凄い。「太陽の塔」も凄い。2016/09/11
Tatuyuki Suzuki
3
この人の考えも触れらるので良かった。2025/01/04
しょー
3
太陽の塔の製作背景、岡本太郎という人間の魅力が語られている。太陽の塔は岡本の戦いの証人となっており、ますますこの作品を直接目にしたいと感じた。岡本の言葉が引用されており、彼の魅力に磨きをかける。そこに、作者の筆致で岡本の動向が語られるために、人間としての魅力がより際立つ。岡本太郎の本を読んでいる人間には、重複する内容があるであろう。だが、人間「岡本太郎」が他者の視点で語られると、彼の偉大さを感じられるのである。2013/04/01