出版社内容情報
司馬文学「黄金時代」の作品をより深く読む。
作家・司馬遼太郎がその全精力を投入して紡ぎ出した代表作『坂の上の雲』の真髄を、登場人物と作者の思考をたどりつつ掘り起こす一冊。
「『坂の上の雲』は、司馬遼太郎が、作家としての生命力が最も充実する年齢を計算して、その黄金時代のすべてを、この作品に賭けて、全精力を投入して仕上げた代表作である」(谷沢永一)。平成8年にこの世を去ってもなお、多くの読者を惹き付けてやまない司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』。明治維新を契機に、わが国が世界の表舞台に登場し、近代化の荒波をまともにかぶった時代、先人たちは無尽蔵のエネルギーとともに、国の将来と己の人生を重ねつつ生きぬいた。日本陸軍で「騎兵の父」としてその名を高らしめた秋山好古、日本海海戦においてロシアのバルチック艦隊を破った秋山真之。兄弟二人の目を通じて見た時代の姿とは、何だったのか。全集本で3巻、文庫版で8巻にわたる広大なストーリーを丁寧にたどりながら、国家の運命、人の世の知恵を指し示す。読者は本書の中から、勝利と敗北の微妙な綾、義務と責任を引き受ける人生の美しさを見出すに違いない。
●一、 智恵と勇気と幸運と
●二、 善玉悪玉論で歴史の大筋が見えるか
●三、 義務感こそ人間を高貴にする
●四、 物事を革新する者は、その道の素人である
●五、 美がわかれば、人生の楽しみが生まれる
●六、 将帥は庇護者としての責任を引き受ける
●七、 知らしめて悟らしめて人を動かす
●八、 精神主義と規律主義は無能者の隠れ蓑
●九、 専門常識はゆらい保守的なものである
●十、 常勝の傲(おご)りが目をくもらせる
●十一、 型によって栄え、型とともに滅びる
●十二、 「卑屈な笑顔」で人の心を攬(と)る性向
●十三、 敵失による勝利を美化した禍根
●新版あとがき
内容説明
日本が健康で若かったころ―日露戦争を戦った先人の活力と叡智に学ぶ。
目次
智恵と勇気と幸運と
善玉悪玉論で歴史の大筋が見えるか
義務感こそ人間を高貴にする
物事を革新する者は、その道の素人である
美がわかれば、人生の楽しみが生まれる
将帥は庇護者としての責任を引き受ける
知らしめて悟らしめて人を動かす
精神主義と規律主義は無能者の隠れ蓑
専門常識はゆらい保守的なものである
常勝の傲りが目をくもらせる
型によって栄え、型とともに滅びる
「卑屈な笑顔」で人の心を攬る性向
敵失による勝利を美化した禍根
著者等紹介
谷沢永一[タニザワエイイチ]
昭和4年大阪市生まれ。関西大学名誉教授。関西大学国文学科大学院博士課程修了。在学中に開高健、向井敏らとともに同人誌「えんぴつ」を創刊。関西大学文学部教授を務めた後、平成3年退職。専攻の日本近代文学、書誌学の分野はもとより、該博な知識に裏打ちされた社会評論には定評がある。『完本紙つぶて』でのサントリー学藝賞をはじめ、大阪市民表彰文化功労賞、大阪府文化賞、読売文学賞、毎日書評賞など各賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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